2018 Fiscal Year Research-status Report
栽培環境が花き類の水分状態に及ぼす影響評価とその日持ち性向上栽培技術への展開
Project/Area Number |
17K07656
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
稲本 勝彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, ユニット長 (50223235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バラ / 光量条件 / 温度条件 / 生産性 / 日持ち性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 品種は葉面積が小さく、日持ち性が高いとされる‘ブリランテ’、葉面積が大きく日持ち性が中程度とされる‘サムライ08’、日持ち性が悪い‘イブピアッチェ’の3つを供試した。培地は培養土とした養液土耕ポット栽培とした。定植は2017年7月、光合 成枝の折り曲げは同8月に開始した。光量を変えた栽培環境として、無遮光と50%遮光の2条件を設定し、現在まで継続的に収穫を行い、約1200本について、日持ち性の評価を行った。 2.2017年11月の収穫開始から、2019年4月まで、‘イブピアッチェ’、‘サムライ’で10回、‘ブリランテ’で9回の収穫のピーク(フラッシュ)が観察された。 3.品質保持日数の頻度分布は、‘イブピアッチェ’はきわめて短く、‘ブリランテ’は長く、‘サムライ’その中間であった。収穫期ごとの品質保持日数は ‘イブピアッチェ’は短く、‘ブリランテ’は長く、サムライは変動が大きかった。 4.‘イブピアッチェ’は不開花(花弁の不展開)、花弁の萎凋が品質保持期間の終了の主たる要因であり、落弁に至るものは少なかった。‘ブリランテ’は、 花弁の萎凋や落弁の前に、花弁が褐変により観賞価値を失う切り花が多く、これに至るまでは2週間程度の期間を要した。‘サムライ’が花弁の萎凋と落弁が主 な要因であった。 5.いずれの品種も、品質保持期間には切り前(つぼみの生育状況)が決定要因として大きく、副次的に栽培期間中の日射量、温湿度が影響することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・湿度条件の設定について、加湿装置から発生する騒音への対策が完了し、10月よりの本格稼働となった。現在、これによる湿度の影響について、測定・評価を行っているところである。 ・当初行う予定であった、水ポテンシャル・光合成測定の詳細な測定は、機材の不調により遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.引き続き、バラの水分状態の変化と光合成、蒸散量との関係の評価:光合成、蒸散量(気孔開度)の日変動との関係を把握する。光合成の測定には光合成測定装置を用いる。 2..バラの湿度条件および培地水分状態の異なる植物の収穫後の日持ち性・水分生理特性の評価 :引き続き湿度条件を変えて育成したバラの収穫後品質評価を、引き続き行う。日持ち期間の評価とともに、水ポテンシャルの変化も測定する。 3.切り花の切り前、調整前(収穫後)品質、収穫前の環境条件と日持ち性との関連を多変量解析等の手法で解析を続ける。
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Causes of Carryover |
当初予定の所要額を使用するところであったが、実使用額との間に少額の差額が発生した。この差額は意図的に発生した者ではなく、テクニカルな面でほぼ不可避なものと考えている。 差額については、翌年度の所要額と合わせて、研究の遂行にあたる必要な経費の一部として使用する予定である。
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