2019 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological functions of ALMT-family malate transporters specifically expressed in organs of tomato
Project/Area Number |
17K07697
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 孝行 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (60362985)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リンゴ酸輸送体 / トマト / ALMTファミリー / アルミニウム / 電気生理学 / 果実 / 孔辺細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では果実のモデル植物,トマトにおいて,器官特異的に発現するリンゴ酸・陰イオン輸送体をコードするSlALMTファミリー遺伝子の生理機能の多様性を明らかにした. 昨年度,アフリカツメガエル卵母細胞の電気生理学的解析により,果実成熟の初期段階で発現するSlALMTが,リンゴ酸と他のジカルボン酸および硝酸・塩素イオンを輸送する基質特異性を明らかにした. 本年度は,当該SlALMT遺伝子の発現抑制体についてメタボローム解析を進めた.その結果,発現抑制体の果実でリンゴ酸などジカルボン酸の含量に変化はなく,他のアミノ酸量に変化がみられた.今後,該当アミノ酸変動の原因を解明するため,このSlALMTの輸送機能についてさらに解析を行う. 一方でこれまで,トマトの気孔を構成する孔辺細胞で発現するSlALMT遺伝子について,電気生理的解析により,外液をリンゴ酸にすることで,高いリンゴ酸放出活性を示すことを見出した.これは,シロイヌナズナの気孔閉口に関わるAtALMT12と共通する性質であった.本年度も輸送機能の解析を進め,孔辺細胞SlALMTタンパク質のC末端にGFP等のペプチド・タグの付加により,電位依存性が変化することを見出した.同様の事象が,シロイヌナズナのAtALMT12でも報告されていることから,トマトのSlALMTが気孔閉口に関与することが強く示された.さらに,これら孔辺細胞のALMTのC末側に,膜電位または外液リンゴ酸に対するセンサー部位が共通して存在することが示唆された.加えて,孔辺細胞SlALMTがリンゴ酸以外にもフマル酸とコハク酸を輸送するがクエン酸は輸送されないことも明らかにした.これらの事から,トマトでもアポプラスト側のリンゴ酸により孔辺細胞のALMTが活性化され,細胞内のジカルボン酸(リンゴ酸)の放出が気孔閉口に関与することが示唆された.
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