2017 Fiscal Year Research-status Report
酵母オートファゴソーム形成に必要な小胞輸送関連因子の同定とその役割
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17K07707
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新谷 尚弘 東北大学, 農学研究科, 准教授 (70374973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / 出芽酵母 / 小胞輸送 / SNAREタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
出芽酵母のYkt6は複数の小胞輸送経路(小胞体-ゴルジ体、ゴルジ体内、ゴルジ体-液胞、エンドソーム-液胞)に関わるSNAREタンパク質である。オートファジーにおいても、オートファゴソーム(以下AP)と液胞の融合に関与することが示唆されているが、決定的な証拠はない。また、AP形成への関与を示唆する報告もあり、Ykt6のオートファジーにおける役割は明確ではない。Ykt6のオートファジーにおける機能を明らかにするために、まずYkt6の温度感受性変異変異株を入手し、オートファジーの解析を行った。その結果、ykt6-11株、ykt6-12株ではAP形成に欠損があり、ykt6-13株ではAPと液胞の融合に欠損があることが分かった。さらに、ykt6-13株ではAPと液胞との融合に必要なSNAREタンパク質であるVam3の液胞への局在が著しく損なわれていることを明らかにした。このことから、ykt6-13株では間接的にAPと液胞の融合が阻害されている可能性が示唆された。そこで、Vam3の局在は正常だが、オートファジーに欠損があるykt6変異株の取得を試みた。得られたykt6-104変異株は、Vam3の局在は正常であるが、制限温度(37℃)でオートファジーに欠損があることが分かった。この株でもAPが蓄積していたことから、Ykt6はAPと液胞の融合に直接関与していることが強く示唆された。 小胞輸送には複数のSNAREタンパク質が関与していることから、飢餓条件下では機能が類似したSNAREがオートファジーにおいて重複して働いていることを推測した。そこで、機能が類似している可能性があるSNAREの二重変異株を作製し、オートファジーの解析を行った。本年度はvam3Δtlg2Δ株、vam3Δpep12Δ株の解析を行ったが、AP形成の欠損はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いくつかの並行して行う実験のうち、遺伝学的手法による研究は順調に進んでいるが、生化学的手法(免疫沈降)による新規オートファジー関連因子の探索実験が時間配分の問題で遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞輸送に関わる因子の遺伝子群の二重変異株の取得を更に進め、オートファジーの解析を行う。また、飢餓条件の違いでオートファジーの規模が変わり、その違いでオートファジーに必要な因子も変わり得ることを見出しているので、変異株群を異なる飢餓条件化で解析する。 遅れている免疫沈降法による新規オートファジー関連因子の探索実験を行う。遺伝学的手法を用いた解析は論文での公表を目指して、電子顕微鏡観察等の必要な実験を行う。
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Causes of Carryover |
【理由】並行して行う実験のうち、生化学的な解析の着手が遅れたため、予定していた試薬等の購入しなかったため。 【計画】予定通り、消耗品や試薬を購入し、実験を実施する。
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Research Products
(3 results)