2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of evaluating methods for soil nitrogen-fixing activity and its activation by bamboo power and microbial fertilizers
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17K07709
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
前田 勇 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10252701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 英明 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20208804)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非共生型窒素固定 / 竹粉 / メタゲノム解析 / ニトロゲナーゼ / 土壌細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学附属農場の圃場において、化学肥料施肥区画、牛糞堆肥施肥区画、牛糞堆肥・竹粉施肥区画の3試験区画を設定し、4月、7月、11月の計3回について各区画から3箇所ずつ土壌のサンプリングを行った。 土壌懸濁液を希釈後に無窒素固体培地に塗布し、形成されたコロニー数をカウントすることで、各試験区画の細菌数を求め窒素固定細菌生菌数を評価した。その結果、7月採取土壌では4月あるいは11月採取土壌と比較し2から3倍多い細菌数が確認された。試験区画間の比較では4月と7月に採取した土壌では有意な差が認められなったのに対し、11月採取土壌では牛糞堆肥施肥区画と牛糞堆肥・竹粉施肥区画で化学肥料施肥区画と比較し有意な増加が認められた。牛糞堆肥・竹粉施肥区画において牛糞堆肥施肥区画よりも細菌数が多い傾向が認められた。 窒素固定を触媒するニトロゲナーゼの活性をアセチレン還元法により測定した。窒素固定細菌生菌数と同様に7月採取土壌では4月あるいは11月採取土壌と比較し2から3倍高い活性が確認された。これらは、夏場の高温と水田底泥の嫌気的な環境に起因するものと推察される。試験区画間の比較では4月と7月に採取した土壌では同程度の活性が認められ、11月採取土壌では牛糞堆肥・竹粉施肥区画、牛糞堆肥施肥区画、化学肥料施肥区画の順に高い傾向となった。 土壌からDNAを抽出し定量PCRにより土壌中のnifH遺伝子の定量を試みたが、窒素固定細菌生菌数やニトロゲナーゼ活性の変化と連動した変化は認められなかった。16S rRNA遺伝子に対する相対値での評価であることや、用いたnifHプライマーが全ての土壌中のnif遺伝子を検出できていない可能性が考えられる。これらの結果から稲作土壌への竹粉供給による土壌窒素固定能への影響として、非栽培期における土壌への窒素源供給が増加し次期の稲作に向けた土壌改質に結び付く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は水稲栽培圃場において3つの試験区を設定し年間を通じての土壌サンプリングを行った。これらの土壌について、窒素固定細菌生菌数とニトロゲナーゼ活性、ニトロゲナーゼをコードするnifH遺伝子の定量を行い、これら変数に対する試験条件の影響と共にこれら変数の季節変動を明らかにした。竹粉施用が土壌の窒素固定活性にプラスの影響を及ぼすことを示唆した。 また、土壌からDNAを抽出し16S rRNA遺伝子を標的としたメタゲノム解析を次世代シーケンサーにより行った。各試験区から異なる地点の3箇所のサンプリングを行ったため、4月、7月、11月の土壌について、約34000から78000リードから成る合計27ライブラリを得ることができた。バイオインフォマティクスにより解析した結果、竹粉の施用区画土壌の菌叢において他の2つの試験区土壌の菌叢と比較しプロテオバクテリア門、その中でも特にベータプロテオバクテリア綱細菌が占める割合が増加することを見出した。今後さらに詳細な解析を行うことで、菌叢と土壌の窒素固定活性あるいは竹粉分解活性との関連性が明らかになることが期待される。 さらに、窒素固定細菌の液体培養を行い、培養液のニトロゲナーゼ活性とnifH遺伝子を検出することが可能であった。今後、これらの窒素固定細菌を土壌に添加することで窒素固定活性を高めることが可能かどうか検討するために、試験に用い微生物資材の準備も整いつつある。窒素固定細菌の単離もこのように当初計画した研究内容をほぼ行うことができ今後より詳細に検討すべき結果も得られているため、進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、大学圃場において化学肥料施用区と牛糞堆肥施用区を設定し、それぞれの試験区で竹粉の施用区と無施用区を設定する。これにより、合計4試験区で年間を通じて定期的に土壌を採取する。土壌への竹粉砕資材(高C/N資材)添加の効果を実験室でも検証するための試験を行う。密封可能な容器に土壌と水分を入れ、一定温度でのインキュベートを行う。竹粉添加の有無で窒素固定活性や菌叢、nif遺伝子の定量と系統解析において経時的変化が認められるか否かを調べる。ポジティブコントロールとしてグルコース溶液を添加した土壌においても同様の解析を行う予定である。また、竹粉の有無と共に培養基材としての土壌に含まれる窒素含量がこれらの測定・解析項目にどのような影響を及ぼすかについても明らかにする。細菌群集構造や非共生型窒素固定細菌のポピュレーション変化、nif遺伝子の土壌中濃度、nif遺伝子の系統解析、そして土壌試料のニトロゲナーゼ活性を測定することによって、これら測定・解析項目間に相関性が見出されるかどうかを調べる。 また、もう一つの課題として土壌への微生物資材添加の効果検証するための試験を行う。これまでの申請者らの研究成果から、好気性土壌細菌である枯草菌を窒素固定細菌と共培養することで、空気封入下の酸素による窒素固定の阻害が回避されることが明らかになっている。そこで、枯草菌等の土壌細菌を土壌試料に添加することで窒素固定活性の向上に結び付くような菌叢やnif遺伝子、ニトロゲナーゼ活性の変化が生じるかどうかを検証する。また、平成30年度の研究において土壌から窒素固定細菌を単離したため、それらの細菌についても土壌に添加し窒素固定に有利に働く変化が生じるかどうかを検証する。それと共に外部から移植した細菌の土壌定着率・増加率、あるいは減衰率・半減期についても調べる予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者の予算執行上の端数として生じた残金であり、令和元年度の研究分担者の直接経費と合算して用いる予定である。
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Research Products
(3 results)