2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07714
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 信孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70357622)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | バイオフィルム / 遺伝子水平伝播 / 微生物群集 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルムは、細菌などの細胞が、多糖、高分子化合物などと共に可視的な塊を形成している物を指す。バイオフィルムは、食品の腐敗、医療器具(カテーテルなど)の汚染、人体組織表面(歯など)における疾病などを引き起こすことから、その研究が重要視されている。バイオフィルムの構造体内部には、多量の細胞外DNA(以下、extracellular DNAの略eDNAと記載する)が存在していることが知られており、それが遺伝子水平伝播の原材料になっている可能性がある。バイオフィルム内部は浮遊状態と比較して、高密度に微生物細胞が密集した状態であるので、遺伝子の水平伝播を起こすために大変有利な場所であると考えられる。
そこで、本年度はeDNAとiDNA(細胞内DNA)を環境サンプルから精製し、その大量配列解読を次世代シーケンサーを用いて行った。具体的には、つくば市の池から採取したバイオフィルムサンプルをDNaseで処理したものとしなかったものを用意し(各n=3、総計6サンプル)、それらの差分を解析することとした。それぞれのサンプルから、3000万を超えるリード数が得られた。
その詳細な解析結果はまだ途上であるが、得られたデータのin silicoでの解析を行い、どのようなDNA成分、あるいは遺伝子カテゴリー成分に差があるか情報を得る必要がある。現在は、データを適切にトリミングなどを行った後に、様々な解析ソフトウェアにかけて、どのような解析をするのが最適か検討しているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
環境バイオフィルムから高クオリティのDNAを細胞外と細胞内に分けて調整する過程に困難があり、その解決に時間を費やし、その結果その後の実験が遅れた。また、次世代シーケンサーでのリード獲得を外注したため、その結果を得られるまでに時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
早急に得られたデータのin silicoでの解析を行い、どのようなDNA成分に差があるか情報を得たい。それには半年ほどかかる予定である。様々な解析ソフトウェアで試行錯誤する必要があるだろう。
|
Causes of Carryover |
細胞内外DNAの分離・精製の方法を検討するたにに手間取ったため、次世代シーケンサーの稼働後、in silicoでの解析などが遅くなってしまった。その分の繰越が生じた。解析結果次第で、追加の次世代シーケンサー稼働も必要であるので、その分の資金としたい。
|