2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic analysis of high-yield protein production in E. coli for the production of natural products
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17K07726
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鮒 信学 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70361574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 文人 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30781801)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物には一つの代謝経路が遮断されても、別の経路が活性化することにより物質を作り出すロバスト性がある。本研究では、大腸菌E. coliにおいて、生命維持に必須な脂肪酸合成経路の遺伝子を破壊することにより、中枢代謝経路の亢進および抑制を誘発する。脂肪酸合成経路の破壊株でmalonyl-CoAおよびacetyl-CoA(二次代謝産物の前駆体)の過剰蓄積が起こる。本年度は、大腸菌の脂肪酸合成経路の中で、炭素鎖身長反応を担うケトシンテースの破壊株を作製した。 λRed recombinaseによる相同組換えおよびCre/loxP系を用い、脂肪酸合成酵素遺伝子 fabH、 fabF、fabBのin-frame mutantを作製した。また、fabB/fabH、fabH/fabFの二重破壊株も作製した。各破壊株の脂肪酸量は減少していることをGC-MSにより確認した。E. coli BL21株および各破壊株において、pQE2-rppArbsmomA を形質転換し、RppAとMomAを発現させた。その結果、LB培地にて36時間培養したところ、fabB/fabH破壊株において108mg/lと親株E. coli BL21株と比較して26倍のflaviolinを生産していることが判明した。LC-tripleQ MSを用いて細胞内acetyl-CoAおよびmalonyl-CoAを定量した結果、fabH/fabF破壊株においてacetyl-CoA、malonyl-CoAの生体内量は親株と比較してそれぞれ6倍、45倍であった。以上より、脂肪酸合成経路の遮断により、脂肪酸の生合成が抑制され、その結果、malonyl-CoA量が増えたことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、スクリーニング陽性株のmalonyl-CoAおよびATPの定量を目的としていた。また、脂肪酸生合成経路の遮断とacetyl-CoA、malonyl-CoAの定量を目的としていた。両研究ともに、予定通りに進行し、順調な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脂肪酸生合成経路の遮断により、一次代謝の流量増加がなぜ起きたのかを解明する。FadR(脂肪酸の合成・代謝の制御因子)はIclR(acetyl-CoA carboxylase(AccABCD)とglyoxylate cycleの負の転写因子)の転写を活性化する。申請者は、malonyl-CoA量の増大の機構をFadRや IclRの制御下にある遺伝子の転写量をRT-PCRで定量し、FAS破壊株と親株とで比較する。また、long-chain acyl-CoA(FadRの負の制御因子)、acetyl-phosphate、acetateを定量する。 FAS破壊株において、FadR、IclR、AccABCDの転写量が増加、AceABの転写量が減少していると予想している。また、acetate activation pathway、GltAなど、TCA cycleの転写量解析を行う。申請者は、GltA やTCA cycleの転写量が、FAS破壊株において親株よりも減少していると予想している。予想が外れた場合、whole transcriptome解析を行い、新たな仮説を立て、それを検証する。
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