2017 Fiscal Year Research-status Report
レドックスニュートラルな合成プロセスを志向した酸化還元酵素群の探索と機能解析
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17K07733
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
冨宿 賢一 明星大学, 理工学部, 准教授 (70392090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体触媒 / 微生物変換 / 不斉反応 / ドミノ反応 / アルカロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノアルコールのドミノ型酸化‐不斉環化およびイミニウム塩のイミニウムイオン不斉還元を触媒する生体触媒の開発に向け、微生物群の探索に取り組んだ。 ドミノ型酸化‐不斉環化を触媒する微生物群の探索に向け、基質となるアミノアルコールの合成を行った。市販のトリプタミンあるいは3,4-ジメトキシフェネチルアミンから出発し、酸性条件下でγ-ブチロラクトンあるいはδ-バレロラクトンと縮合することにより、対応するアミドへと変換した。次いで、加熱還流下で水素化アルミニウムリチウムを用いてヒドリド還元し、対応するアミノアルコールへとそれぞれ変換した。培養した各種の微生物から無細胞抽出液を調製し、合成したアミノアルコールを基質とする酵素反応を行い、補酵素NAD(P)+からNAD(P)Hへの還元に伴う吸光度の変化から酸化活性を求めた。これまでに150種以上の微生物の活性測定を行い、数種の微生物から酸化活性を確認した。 イミニウムイオン不斉還元を触媒する微生物群の探索に向け、基質となるイミニウム塩と、その還元生成物であるアミンの合成を行った。前述のアミノアルコールの合成同様、市販のトリプタミンあるいは3,4-ジメトキシフェネチルアミンから出発し、酸性条件下でγ-ブチロラクトンあるいはδ-バレロラクトンと縮合することにより、対応するアミドへと変換した。次いで、加熱還流下での塩化ホスホリルとの反応により脱水環化し、対応するイミニウム塩へとそれぞれ変換した。これらのイミニウム塩に対し、水素化ホウ素ナトリウムを用いてヒドリド還元し、対応するアミンへと変換した。培養した各種の微生物から無細胞抽出液を調製し、合成したアミンを基質とする酵素反応を行い、補酵素NAD(P)+からNAD(P)Hへの還元に伴う吸光度の変化から酸化活性を求めた。これまでのところ、数種の微生物からわずかながら酸化活性を検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリプタミンあるいは3,4-ジメトキシフェネチルアミンを出発原料とする合成経路を確立することができ、基質および標品をそれぞれ4種ずつ合成した。また、各種の微生物から無細胞抽出液を調製し、酵素活性を検出する方法を確立することができた。これにより、現在までに150菌株以上の各種の微生物から酵素活性の測定を行うことができ、活性を検出した数種の微生物については、微生物変換の検討へと進め、生成物の解析や立体選択性の評価に取り組んでいる。これらの進捗は、おおむね当初の予定通りであり、研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
酵素活性を示した微生物を用い、ドミノ型酸化‐不斉環化あるいはイミニウムイオン不斉還元の微生物変換を行い、その反応性と立体選択性の評価により微生物を選抜する。選抜した微生物からは、酵素の精製と酵素化学的な諸性質の解明に取り組む。最大の酵素活性を示す最適な培養条件を確立し、最適条件で数L単位で培養した菌体の破砕液から、酵素の精製方法を検討する。粗精製の段階で、酵素反応の至適pHや至適温度、酵素のpH安定性や温度安定性などの予備検討も進め、これらの結果も参考にしながら酵素の精製方法を確立する。確立した最適な菌体培養条件と酵素精製方法をにより、数十L単位で菌体を大量培養し、その菌体破砕液から酵素を精製する。精製した酵素を用い、酵素反応の至適pHや至適温度、pH安定性や温度安定性、基質特異性など酵素化学的な諸性質を精査する。
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