2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな糖質マテリアルの創製に向けた新規配糖化反応の開発と酵素の性質解明
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17K07739
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
上田 誠 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (10615751)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 配糖体 / テルペンアルコール / 微生物反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルキルアルコールを配糖化する微生物反応について、活性微生物の探索と得られた活性株の培養・反応検討、基質特異性の確認、および配糖化酵素の性質解明を進めている。 活性株の探索については、土壌からの分離や微生物保存機関からの活性株の16S-rDNAとの類似性の高い菌株の取得により進めている。その結果、従来株よりも高活性な菌株の取得でき、今後の配糖体生産検討や酵素の性質解明に大いに役立つ見込みである。また、これまでの活性株(Ensifer sp. M-261やAgrobacterium sp. M-12株)を用いてのジャーファーメンターを用いた培養条件や反応条件の確立も行った。6-ジンゲロールについては、高価な試薬ではなく実用的な生姜搾汁液中に存在する6-ジンゲロールの配糖化反応を行い、原料として使用可能であることを確認した。 また、菌体反応の基質特異性の確認においては、これまでに報告した6-ジンゲロールやゲラニオール、エタノールといった1級、2級アルコール以外に、3級アルコールのリナロールに対しても配糖化可能であることを見出した。これまでの糖転移酵素(β-グルコシダーゼなど)では3級アルコールには配糖化できないことが報告されていたが、本反応では生成物を確認できた(NMRにて構造確認済)。今後の反応メカニズム解明に大きな興味が持たれる結果が見出された。 活性株であるEnsifer sp. M-26株からの酵素精製を進めている。本酵素はカチオンにより活性化され、Glucosidaseの GH Families 13との類似性を示した。酵素の精製と酵素遺伝子の類似性からの遺伝子のクローニングを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルキルアルコールは生理機能を持つ化合物が多いことから産業的な利用が可能となる技術としても検討を進めたい。この点から本研究課題開始時よりも高活性な微生物菌株が得られたことは大きな進歩と考えている。 基質特異性の確認においては、これまでに酵素による配糖化例の無い3級アルコールへの配糖化が可能であることを確認したのが大きな成果である。H30年年度から反応メカニズムの解明など進めていくが、学術的に大きな成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに取得微生物による配糖化反応検討および酵素の性質解明を進める。具体的には、以下の項目となる。 ・高活性株による6-ジンゲロールやネロールに対する生産性の確認。 ・遺伝子のクローニングや酵素の精製による配糖化酵素の性質解明 ・キラルなアルコール(3級アルコールのリナロールや2-ペンタンオール)に対する配糖化酵素の選択性を確認する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の発生は少額の予算残が発生したため。当初の予定通りの助成金の使用を計画している。
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Research Products
(2 results)