2018 Fiscal Year Research-status Report
新たな糖質マテリアルの創製に向けた新規配糖化反応の開発と酵素の性質解明
Project/Area Number |
17K07739
|
Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
上田 誠 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (10615751)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 配糖体 / テルペンアルコール / リナロール / 微生物反応 / グルコシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
アルキルアルコールを配糖化する微生物反応について、活性微生物の探索と得られた活性株による各種基質の配糖化検討、および配糖化酵素の性質解明を進めている。 得られた活性株Agrobacterium sp. M-12株を用いてネロールの配糖化反応を行った。ネロール 1g/Lとマルトース 100g/Lを仕込んだ反応により72時間で1.8 g/Lのネロール配糖体が生成した。ネロールに対するモル収率は87.6 %で高収率となった。反応中に少量のゲラニールとその配糖体の蓄積も確認された。ネロールの異性化反応の存在によりゲラニオールが生成し(大腸菌等にネロール異性化酵素反応の報告有)、その配糖体が蓄積したものと推測している。 酵素の性質を検討するため配糖化活性を持ちゲノム情報公開株のEnsifer adhaerence NBRC100388から遺伝子のクローニングを行った。制限酵素配列を付加したα-グルコシダーゼ遺伝子の配列をPCRで増幅し、制限酵素処理後、pETベクターに挿入した。クローニングしたα-グルコシダーゼの遺伝子(EaG遺伝子)を大腸菌に形質転換し、IPGによる誘導で活性組換え菌を得た。現在は、組換え菌からの酵素精製と酵素の諸性質の検討を進めている。 3級アルコールであるリナロールの配糖化において、ラセミ体リナロールの配糖化物はα-アノマーと糖アルコール側(アグリゴン側)が不斉炭素となることからジアステレオマーが生成することになる。ラセミ体リナロールの配糖化反応の結果、HPLCにて二つの生成ピークが得られたことからジアステレオマーの蓄積が確認できた。今後は酵素によるアルコール側の立体選択についても検討を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵素による糖転移反応は3級アルコールは基質にならないと言われていたが、本検討で見出した酵素により配糖化が可能であることが判明し(2018年度は菌体反応による確認)、非常に大きな成果が得られたと考えている。配糖化反応のアルコール側の選択性(立体、位置など)をリパーゼなどと同じように議論できることになる。 また、遺伝子のクローニングと大腸菌での発現が順調に進展したことから2019年度の成果も期待できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに取得微生物や酵素による反応検討と性質解明を進める。具体的な検討内容は以下の項目となる。 ・不斉炭素を持つアルコール基質に対する反応 ・組換え菌による酵素の性質解明 ・他の有用基質(ポリフェノールなど)に対する配糖化反応
|
Causes of Carryover |
酵素精製用資材や微生物探索資材、遺伝子組換え試薬で予定通り支出する予定。
|