出芽酵母の多面的・網羅的解析による糖化ストレス傷害・修復メカニズムの解明

2018 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17K07740
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 中村 敏英 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (60391588)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 糖化ストレス / 遺伝子発現解析 / 遺伝子破壊株解析

Outline of Annual Research Achievements

高糖濃度環境での効率的な発酵には、使用する微生物に高い高糖濃度ストレス耐性が求められる。これまでに酵母の高糖濃度ストレス耐性機構についてはほとんど明らかになっていない。高糖濃度環境では高浸透圧による水分ストレスの他に糖の代謝副産物や糖そのものによる糖化ストレスが生じている。本研究では出芽酵母の糖化ストレス耐性機構を明らかにすることで高糖濃度耐性能の強化に資する知見を得ることを目的とする。
昨年度は当研究室で保有する高濃度グルコース耐性能を有する出芽酵母２株について、糖化ストレス耐性能が非常に高いことを確認した。各株における遺伝子発現について網羅的に解析を行い、特徴的な発現様式を持つ遺伝子を複数見出した。また、出芽酵母非必須遺伝子破壊株セットを用いた糖化ストレス耐性に重要な遺伝子の検索を行った。約4,700遺伝子破壊株のうち、約2,600株について高濃度グルコースおよび糖化ストレスを起こすメチルグリオキサールに対する耐性を解析した。
本年度は昨年度に引き続き出芽酵母非必須遺伝子破壊株セットを用いた糖化ストレス耐性に重要な遺伝子の検索を行った。約4,700遺伝子破壊株のうち、残りの約2,100株について高濃度グルコースおよびメチルグリオキサールに対する耐性を解析した。この一次スクリーニングの結果、ストレス感受性を示す遺伝子破壊株を数十株見出した。現在、ストレス感受性について試験法を変えて再現性を確認している。