2017 Fiscal Year Research-status Report
Structure and function of pilus tip proteins of Lactococcus lactis
Project/Area Number |
17K07741
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 チセ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門畜産物研究領域, ユニット長 (80343820)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞表層タンパク質 / MALDI TOFMS / 線毛タンパク質 / デリーション株 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lactococcus lactis6株のゲノムデータ(MiSeq)についてGalaxyを用いて解析した結果、L. lactis subsp. lactis C59とDRC2はQ14タイプの線毛遺伝子をもつが、4株は線毛遺伝子をもたないと推定された。畜産研究部門保有のL. lactis 39株についてPCRでyhgD-E領域の有無を調べた結果、20株でyhgD-E領域が増幅された。yhgDの配列を用いて系統解析を行った結果G50を含む3株が同じクラスターに属し、残り17株は異なるクラスターに分かれた。G50のyhgDの発現解析の結果、yhgDの遺伝子発現が確認され、培養16時間よりも23時間の方が発現量が多かった。 G50菌体に対して作成した抗体を用いてG50の細胞壁タンパク質のウェスタンブロットを行った。抗体と強く反応する120 kDaのバンドについてMALDI TOFMS及びMascotサーチを用いて解析した結果、細胞壁タンパク質(以下YwfG)と同定された。線毛タンパク質YhgDは抗G50抗体では検出されなかった。YwfGは1107アミノ酸からなり、N末端側にL-型レクチンドメイン、続いてムチン結合ドメインが連なり、C末端側に細胞壁アンカードメインであるLPXTGモチーフを有していた。エピトープになったことから、宿主と何らかの相互作用が期待されるため、YwfGも本課題で合わせて解析を進めることにする。マーカーを含まないyhgD及びywfGデリーション用のプラスミドを作成した。ywfGについてはデリーション株を数株取得し、抗G50抗体と反応するYwfGに相当する120 kDaのバンドは検出されないことを確認した。J774.1に添加した時のTNFαの誘導活性は株によって異なり、G50株より有意に下がる株は1株のみだった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ゲノム解析の結果からの線毛クラスター保有株の選抜と発現解析は順調に進捗している。大腸菌での発現は高度解析センターの協力によりYhgDの組換えタンパク質が得られている。2)PCR による線毛クラスター保有株の選抜と発現解析も順調に進捗している。当初線毛タンパク質に対する抗体作成を計画していたが、過去に作成したG50菌体に対する抗体を用いたウェスタンブロット及びMALDI TOFMSにより抗体に強く反応する細胞壁タンパク質YwfGを見出したため、このタンパク質についても本課題で合わせて解析を進めることにする。3)線毛発現の有無によるマクロファージに添加時のサイトカイン誘導能の検証についても実験を進めている。特にYwfGのデリーション株についてのデータが得られたが、株によって応答が異なるためさらに検証が必要と思われる。4)線毛クラスターの発現系の構築(L. lactis 導入用プラスミド)及びその改変については、まだ着手していないが、デリーション株の作出を先行したため乳酸菌の組換え等の技術的な問題は解決した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)G50の線毛先端タンパク質YhgDの大腸菌での組換えタンパク質が得られたので、抗体作成を行う。2)YhgD のデリーション用プラスミドを作成したので、デリーション株の取得を行い、YwfGデリーション株とともにJ774.1等免疫細胞への添加実験によりその性質を明らかにする。またそれらの遺伝子が乳酸菌体に及ぼす影響についても、ストレス耐性や付着性など検討を行う。3)YwfGについても大腸菌での発現を行い、構造解析を進める。4)in vitro 系でのYhgD 及びYwfGに結合する細胞表層分子の探索については、ビオチンリガーゼの認識配列(GGGLNDIFEAQKIEQHE)を導入し、大腸菌内でビオチン標識したYhgD タンパク質を発現する。これを、ストレプトアビジンを結合した樹脂で精製し、樹脂ごと免疫細胞に添加、一定時間インキュベートしたのち、細胞を可溶化後、YhgDまたはYwfGと結合している分子を同定する。
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Causes of Carryover |
大腸菌による組換えタンパク質発現系の構築を高度解析センターの協力が得られたため、それらの経費の支出がなかった。組換えタンパク質に対する抗体作成を予定していたが、過去に作成した菌体に対する抗体を用いることで興味深い結果が得られたためH29年度は抗体作成を行わなかった。また国際学会参加に関しては航空券を手続きの都合上私費で購入したため科研費からの支出は行わなかった。 線毛タンパク質に加え、細胞壁タンパク質YwfGの知見も得られたので、これらの組換えタンパク質については次年度に抗体作成を外注する。また国際学会に参加し成果の公表を行う。
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[Presentation] COMPLETE GENOME SEQUENCE OF LACTOCOCCUS LACTIS G50 AND PILIN LOCUS STRUCTURE2017
Author(s)
Chise Suzuki, Kazuma Nakano, Naoko Moriya, Maiko Minami, Misuzu Shinzato, Makiko Shimoji, Noriko Ashimine, Akino Shiroma, Shun Ohki, Tetsuhiro Nakanishi, Hinako Tamotsu, Kuniko Teruya, Kazuhito Satou, Hiromi Kimoto-Nira, Miho Kobayashi, Tatsuro Hagi, Masaru Nomura, Takashi Hirano
Organizer
FEMS 2017 Congress(The 7th Congress of European Microbiologist)
Int'l Joint Research