2018 Fiscal Year Research-status Report
Structure and function of pilus tip proteins of Lactococcus lactis
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17K07741
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 チセ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究領域長 (80343820)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞表層タンパク質 / 線毛タンパク質 / レクチンドメイン / 結晶構造 / LPXTG motif / 乳酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Lactococcus lactis G50 の線毛先端タンパク質YhgDのうち、G50に特異的なC末端側半分の約600アミノ酸の組換えタンパク質(His-tag付き)を得て、抗体作成を行った。His-tagにも応答したため、His-tagペプチドを合成し、これに結合する抗体を除く処理を行った。抗体作成に用いた600アミノ酸ペプチドにも反応しないため、再検討が必要と考える。YhgD全長および抗体作成を行ったC末端ドメインについて結晶化を行ったが、分解能は4.5Aと低いためさらに結晶化から検討を行う。 2)Lactococcus lactis G50 の細胞表層タンパク質YwfGについては、構造予測からN末端側のL型レクチンドメイン、続いてムチン結合ドメインが4つ連なり、病原因子として知られているListeriaのinternalinと類似の構造が予測された。C末端側にはSortaseによる輸送・アンカーシグナルであるLPXTG motifを有しているが、興味深いことに、切断されるはずのLPSTG以降のアミノ酸配列もTOFMSで検出されている。このことは、YwfGはSortaseによるアンカリングなしに細胞壁に局在していることを示している。 3)大腸菌の発現系を用いてYwfG のN末端側のL型レクチンドメインからムチン結合ドメインのうち1つを含む28ー511残基のタンパク質を発現し結晶化を行った結果、2.6Aの分解能でほぼ構造予測通りの結晶構造が得られた。L型レクチンドメインに関しては糖鎖アレイ解析に供してレクチンとして結合する糖鎖の解析を行ったが、結合活性は認められなかった。 4)YhgDおよびYwfGの発現時期を調べるため、6、12、24、48時間のサンプルについてtotal RNAを調製した。cDNAからのPCRを行った結果、いずれ時期でも発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)YwfGについては構造予測通りの結晶構造が得られた。L型レクチンドメイン構造を持つが糖鎖への結合活性がないことが明らかになり、その結合する分子の解明に興味がもたれるが、その特定が難しい。 2)アミノ酸配列としてLPSTG以降の配列が確認されたことから、YwfGはLPXTG motifを持つにも関わらずSortaseによるアンカリングなしに細胞壁に局在していることが明らかになった。細胞表層への結合様式についても再検討が必要となる。 3)今年度作成したYhgDのC末端ペプチドを認識する抗体は当該ペプチドを認識しなかった。結晶化においても不安定であり、組換えタンパク質自体の不安定性が抗体がうまく出来なかった要因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)YhgDに対する抗体作成を再度検討する。大腸菌による長鎖長のペプチドでは不安定性が予測されるため、短いペプチドを合成し、キャリアコンジュゲーションなどの手法で抗体作成を行う。 2)YwfGについては各ドメインの組換えタンパク質が得られているので、これをマクロファージへの添加実験に使用する。蛍光ビーズに結合させそれぞれのドメインの貪食やサイトカイン産生への影響を調べる。 3)L型レクチンドメインに結合するタンパク質を細胞抽出液などから探索する。
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Causes of Carryover |
大腸菌による組換えタンパク質発現系の構築を高度解析センターの協力が得られたため、それらの経費の支出がなかった。培養細胞を用いた実験を計画していたが、今年度は行わなかったためELISA等の高額なキットの購入がなかった。 YhgDに対する抗体作成を行ったが、特異的な抗体が得られなかったため、抗体作成を再度検討する。次年度は培養細胞への添加実験を行うため、ELISAや発現解析等の費用が必要となる。また国際学会に参加し成果の公表を行う。
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