2019 Fiscal Year Research-status Report
Structure and function of pilus tip proteins of Lactococcus lactis
Project/Area Number |
17K07741
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 チセ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究領域長 (80343820)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Lactococcus lactis / cell wall protein / lectin domein / D-mannose / Saccharomyces cerevisiae / mannoprotein |
Outline of Annual Research Achievements |
YwfGはN末端側からL型レクチンドメイン(LD)、ユビキチン様β-grasp foldドメイン(GD)、続いてムチン結合ドメイン(MD)が4つ連なる構造を持つと予測され、C末端側にSortaseによる識別シグナルであるLPXTG配列を有している。 1)YwfGの各ドメインLD (28-270)、LD-GD (28-336)、LD-GD-MD1 (28-511)およびMD4 (860-1034)の4つの領域を大腸菌で発現させた後、精製を行い結晶化実験および相互作用解析実験に供した。LDに対する単糖の結合実験は等温滴定型カロリメトリー(ITC)を用いた。LDに対する単糖の結合能をITCで解析した結果、D-マンノースに対してのみ結合能が確認された。 2)LD-GD-MD1の結晶化に成功し、放射光施設で2.6Å分解能のX線回折データを取得し、分子置換法により結晶構造を決定した。また、LD-GD-MD1結晶にマンノースをソーキングしたマンノース結合型LD-GD-MD1の構造解析を行い、YwfGに対するマンノース結合様式を解明した。 3)酵母の細胞表層にはマンノース糖鎖が付加されたマンナンタンパク質が発現している。そこで、酵母とYwfGの各ドメインとの結合を凝集反応により観察した。Saccharomyces cerevisiae X2180-1AをPBSに懸濁し、1μMの濃度で各発現タンパク質を添加した。マンノースは1 mMで添加した。その結果、LD、LD-GD、LD-GD-MD1では凝集が見られたが、MD4では凝集しなかった。興味深いことにLDによるX2180-1Aの凝集はマンノース添加によっても阻害されないがLD-GDおよびLD-GD-MD1による凝集はマンノース添加により阻害された。レクチンドメインに対するマンノース結合と各ドメイン間の結合に関してはさらに検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進捗しているが、マンノース結合と各ドメイン間の結合に関してはさらに詳細な検討が必要である。これらの疑問点の解決により、YwfGの存在意義や乳酸菌と酵母との相互作用に関する考察が可能になる。上記の再実験を行なった上で論文投稿を行い、目的を精緻に達成したいため延長申請を行った。 線毛タンパク質YhgDに関しては安定な組換えタンパク質が得られず、抗体も得られていないが、抗体作成方法を再度検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
ITCを用いたマンノースとLDとの結合活性解析を行っているが、さらに他のドメインの有無による結合活性について解析を進め、今年度観察された酵母の凝集反応との関係を明らかにする。酵母表層のマンナンタンパク質糖鎖は各種マンノース転移酵素(mnn遺伝子)の有無により、マンノース付加の様式が異なることが知られている。mnn変異酵母からマンナンタンパク質を粗精製しYwfG各ドメインをITCにより解析する。YwfG各ドメインのマンノース存在時の構造変化を調べるため、各種pH中での構造の測定をCDを用いて行う。さらにL. lactis G50株とYwfGデリーション株について、マンノースの有無による遺伝子発現解析を予定している。解析が進んでいないYhgDに対する抗体作成を再度検討する。
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Causes of Carryover |
大腸菌による組換えタンパク質発現系の構築に関して引き続き高度解析センターの協力が得られたため、それらの経費の支出がなかった。培養細胞を用いた実験を計画していたが、相互作用を酵母の凝集反応を用いて行ったため、ELISA等の高額なキットの購入がなかった。YhgDに対する抗体作成を再度検討するとともに、L. lactis G50株とYwfGデリーション株について、マンノースの有無による遺伝子発現解析を予定している。
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