2021 Fiscal Year Research-status Report
Structure and function of pilus tip proteins of Lactococcus lactis
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17K07741
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 チセ 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80343820)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | cell surface protein / Lactococcus lactis / lectin / mucus-binding protein |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ある種のラクトコッカス属細菌が保有している細胞表層タンパク質YwfGについては、昨年度までに構造予測とX線構造解析から、N末端側からL型レクチンドメイン(Lec)、ムチン結合ドメイン(Mbp)、続いて粘膜結合ドメインリピート(MubR)が4つ連なる構造をもつことが示された。Lecに対する単糖および各種マンノビオースに対する結合性を等温滴定型カロリメトリー(ITC)を用いて検討した結果、D-マンノースおよびマンノビオース、特にα1,2-マンノビオースとの結合が確認された。また酵母マンナンタンパク質および酵母マンナンに対する結合性も確認された。 本年度は、酵母とYwfGの各ドメインとの相互作用について調べた。野生型酵母Saccharomyces cerevisiaeに1 uMのレクチンドメイン(YwfG28-270)、Lec-Mbpを含むYwfG28-336、Lec-Mbp-MubRを含むYwfG28-511、末端のMubR4を添加した結果、MubR4以外で酵母の凝集が確認された。YwfG28-336およびYwfG28-511添加による酵母の凝集反応は1 mMの各種マンノビオース添加により阻害されたが、YwfG28-270添加による凝集反応はマンノビオース添加によっても阻害されなかった。これまでの成果をもとに乳酸菌学会で発表したほか、現在論文作成を行なっている。 2)ラクトコッカス属細菌が保有する線毛タンパク質YhgDについては、AlphaFold2により予測した分子モデルを使い位相決定を行なった結果、構造が明らかになった。よく保存されているN末端部分についてはレクチンと推定されたが、この部分の組換えタンパク質と6種類の単糖との相互作用は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、現所属に転職したため、科研費の移動や調達業務等に時間を要した。また以前の所属からはこれまで使っていた乳酸菌の菌株等が持ち出せないため、酵母を中心とした研究となった。X線結晶解析やITCを用いた相互作用解析については、以前の所属と連携して研究は行えており、最終的な論文の取りまとめに入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で終了予定であったが、論文が完成していない。現在まで本文はおおよそ書き上がっており、図表の取りまとめと共同研究者間で相談しているところである。次年度に延長して論文投稿を行う。本研究の対象としたYwfGの宿主の免疫賦活作用への影響についてはデリーション株を作成して検討したが、その効果については確定できていない。G50以外でYwfGを持つ株について、その免疫賦活作用について調べる。線毛先端のYhgDについても、L. lactisでは線毛が発現していないという報告があり、なぜ発現しないのかについても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響および所属変更の影響で、科研費が使用可能になってから年度の使用締め切りまでの期間が短く、前所属と現所属とで発注手続きが異なったこと、また実験環境等の整備のため時間を要したこと等の理由により、今年度の研究費を使い切ることができなかった。次年度使用額については、現在執筆中の論文の英文校閲と投稿料に用いる予定である。
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