2017 Fiscal Year Research-status Report
tRNAiMetメチル化による寿命制御メカニズムの解明
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17K07746
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
廣田 恵子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (00375370)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 線虫 / tRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、線虫の遺伝学的研究において翻訳関連タンパク質のノックダウンが寿命を延長することから、翻訳低下と長寿の相関が示唆されている。翻訳開始は、その効率を決定するrate-limiting step であり、その過程の中で翻訳開始タンパク質群を含む40S リボソームと開始メチオニンtRNA(initiator methionine tRNA;tRNAiMet)が会合する。本研究においては、tRNAiMet のメチル化修飾が翻訳効率や選択性を通して寿命を延長するという仮説を立て、この仮説を検証すべく研究を開始した。 まずはじめに、tRNAiMetのメチル化状態を検出する実験系の確立を試みた。dNTP濃度変化を利用したリアルタイムPCRによって、tRNAiMetのメチル化を検出することに成功した。さらに、哺乳類で既に同定されていたtRNAiMetのメチル化酵素のアミノ酸配列情報を元に、線虫オルソログを同定した。このメチル化酵素遺伝子のノックダウンを行ったところ、tRNAiMetのメチル化が減少していた。現在は、この方法を利用して、加齢・栄養環境・各種ストレス下で線虫を飼育し、tRNAiMetのメチル化状態の変化について解析を行っている。また、tRNAiMetメチル化を検出するもう一つの方法として、LC-MSを用いた方法の確立にも取り組んでいる。これによって、より正確にメチル化状態を解析できるようになると考えている。 これらの方法の確立は、今後、tRNAiMetメチル化による寿命制御メカニズムの解析を進めるにあたって重要な基盤となると考えている。次年度は確立した方法を生かして研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、tRNAiMetのメチル化の検出方法の確立を行い、dNTP濃度変化を利用したリアルタイムPCRによるメチル化の検出に成功した。また、このメチル化を触媒する酵素を同定し、そのノックダウンがメチル化を減弱させることを示した。さらにこの酵素を認識する抗体を作製し、タンパク質レベルでタンパク質の増減を検出することが可能となった。これらは、メチル化が寿命に与える影響を解析する上で必要な技術基盤であり、今後の研究に大きな推進力をもたらすと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、メチル化酵素が寿命に与える影響について、その分子メカニズムを解析する。特に遺伝学的手法を用いて、既知の寿命制御カスケードとこのメチル化酵素との関係性を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
次年度より所属機関が変更になるため、研究環境の整備に使用する必要があったため。
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Research Products
(2 results)