2017 Fiscal Year Research-status Report
核内リボソーム生合成と細胞質翻訳の機能的連携による新規細胞増殖制御機構の解明
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17K07751
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
灘野 大太 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00228074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞増殖においてはタンパク質合成の場であるリボソームを多数新規生合成すること、ならびにそのリボソームを利用した翻訳亢進(リボソームがmRNA上で多数連なったポリソームの形成)の両方が必要である。ヒトを含む真核細胞において前者は主に核内の小器官である核小体で、後者は核外の細胞質で行われる。両者のバランスおよびその制御は細胞増殖にとってきわめて重要と推察されるが、核膜を隔てた両者の連携については未だ不明な点が多い。こうした状況を踏まえ、解明の手掛かりとなる因子の探索を行った。細胞内の総リボソームを生物化学的手法により単離し、リボソームの構成タンパク質を独自の手法により分離し、分離されたタンパク質を質量分析法により解析・同定した。その結果、リボソーム生合成への影響が示唆された因子が見出された。蛍光抗体法による細胞観察および細胞分画法を含む細胞内局在解析によりこの因子は上記の核小体および細胞質のリボソームの両方に存在することが示された。ショ糖密度勾配超遠心法を利用した従来の方法ならびに今回新たに開発された方法の計2種類の細胞内ポリソームの解析結果は、いずれもこの因子が翻訳中のリボソームに含まれることを示唆した。加えて、同因子は各種ヒトがん細胞において高発現していることなどからがん化との関わりが推定され、さらにがん細胞においても同因子がポリソームに含まれることが初めて示された。また並行して関連因子についても解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに提出した研究実施計画に従い、核内リボソーム生合成と細胞質翻訳に関わる因子の同定および解析に取り組んだことから上記の達成度とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の項に記載した因子を含め候補因子について、細胞増殖において重要な連携機構の分子レベルでの解明に向けて当初の研究計画に従って解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)1年目の研究計画が上に記載したとおりおおむね順調に進んだことから、当初可能性として想定された困難が生じた場合への対応を含めた当初の使用計画に比して使用額の変動が結果として生じた。また実験計画および実験手法の見直し・改良等により一層の経費節約に努めた。
(使用計画)1年目は上記のとおりおおむね順調に推移したことから、生じた助成金分を含めて2年目の研究計画に従って研究目標の達成をめざず。
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