2017 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質N-ミリストイル化を介した膜タンパク質の新たな機能制御機構の解明
Project/Area Number |
17K07758
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
内海 俊彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20168727)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | N-ミリストイル化 / 膜タンパク質 / 網羅的探索 / 機能発現 / 細胞内局在 / タンパク質-タンパク質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、ヒトタンパク質配列情報をもとに、ヒト細胞内に存在するN-ミリストイル化タンパク質を網羅的に同定した結果、170個を超える新規N-ミリストイル化タンパク質を見出し、その中に、約40個もの膜貫通タンパク質が存在する事を明らかにした。本年度は、約40個のN-ミリストイル化された膜タンパク質のうち、重要な生理的機能が予測される4個の膜貫通タンパク質に注目し解析を行った。 その結果、グリコーゲンオートファジー(Glycophagy)のオートファジー受容体として機能する、ヒトのIII型膜貫通タンパク質であるSTBD1がN-ミリストイル化され、この修飾がSTBD1との結合を介したグリコーゲンのリソゾームへの移行に重要な役割を担っている可能性を示した。また、このSTBD1の細胞内局在にはN-ミリストイル化に加えて、膜貫通領域、グリコーゲン結合ドメインが必要であることも明らかにした。 また、これまでに解析を進めていたSAMM50, TOMM40といったミトコンドリア膜貫通タンパク質についても、そのN-ミリストイル化の機能解析を行った結果、ミトコンドリアのクリステ形成に関わるSAMM50 がN-ミリストイル化を介してミトコンドリアへ局在し、同じくN-ミリストイル化された膜間腔タンパク質であるMIC19と特異的に結合しミトコンドリアのクリステ形成に関与している可能性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、新たに見出した4個のN-ミリストイル化された膜貫通タンパク質の解析を行い、その細胞内局在や、膜への組み込み、機能におけるN-ミリストイル化の役割に関して多くの知見が得られた。また、これまでに解析を進めていたSAMM50, TOMM40といったミトコンドリア膜貫通タンパク質についても、その機能発現におけるN-ミリストイル化の役割に関して解析が進んでおり、研究の進捗状況は良好である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に主として解析を行ったSTBD1を介したグリコーゲン輸送、およびグリコーゲン分解におけるN-ミリストイル化の機能をさらに詳細に解析するとともに、30個を超える未解析の膜タンパク質に生ずるN-ミリストイル化について、細胞内局在や、膜への組み込み、機能発現におけるN-ミリストイル化の役割に関して解析を行う。この際、これらのタンパク質の野生型及びN-ミリストイル化を阻害したG2A-変異体を恒常的に発現する安定発現細胞を確立し、免疫沈降法によりN-ミリストイル化依存的に膜タンパク質と特異的に結合するタンパク質の同定を試みることにより、膜タンパク質に生ずるN-ミリストイル化の生理的意義の解明をめざす。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は、解析を行うタンパク質を絞ったため、当初予定していた実験に要する設備備品、消耗品費の使用額が少なく、次年度使用額が生じた。この経費は、30年度の使用額と合わせて本年度の研究推進方策に記した研究内容の実施のために使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)