2018 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質N-ミリストイル化を介した膜タンパク質の新たな機能制御機構の解明
Project/Area Number |
17K07758
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
内海 俊彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20168727)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | N-ミリストイル化 / 膜タンパク質 / 網羅的探索 / 機能発現 / 細胞内局在 / タンパク質-タンパク質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017度までの研究から、これまで可溶性の細胞質タンパク質に生じ、膜への局在化を介して特異的機能を発現することが知られてきた N-ミリストイル化が、膜タンパク質にも生じ、細胞内局在や特異的な機能発現に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。2018度は、これまでに見出した約40個のN-ミリストイル化された膜タンパク質のうち、2017度解析を行った4個の膜貫通タンパク質に加え、新たに4つの膜タンパク質を加え解析を行った。 その結果、2017年度解析を開始したグリコーゲンオートファジー(Glycophagy)のオートファジー受容体として機能するSTBD1に生じるN-ミリストイル化が、グリコーゲンのオートファジーによる分解において重要な役割を果たすことに加え、このタンパク質がアポトーシス刺激に伴いカスパーゼにより特異的に切断され、グリコーゲン結合能を失うことを見出した。グリコーゲンの分解とアポトーシス機構が関連していることを示す重要な知見であると考えられる。 また、新たに解析を開始した4つのタンパク質のうち、機能未知遺伝子であるANKRD22が、N-ミリストイル化に加えS-パルミトイル化を生じ、小胞体膜に特異的に局在し、小胞体の構造を変化させることを見出した。これまでに小胞体膜タンパク質であるLunaparkがN-ミリストイル化され、この脂質修飾がLunaparkによる小胞体の形態形成に関与することを明らかにしており、新たに見出されたN-ミリストイル化されたANKRD22が小胞体の形態形成に関与する可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究では、2017年度解析した4個のタンパク質に加え、新たに4個のN-ミリストイル化された膜貫通タンパク質の解析を行い、その細胞内局在や、膜への組み込み、機能におけるN-ミリストイル化の役割に関して多くの知見が得られた。特に、ANKRD22が小胞体の形態形成に関わるタンパク質である可能性が見出され、機能未知遺伝子であるANKRD22の機能解明に向けた重要な知見が得られたと考えている。また、2017年度から解析を進めていた小胞体膜タンパク質であるSTBD1がアポトーシス過程においてカスパーゼにより特異的に切断されグリコーゲン結合能を失う等の興味深い知見が得られており、研究の進捗状況は良好である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2017年度から解析を行っているSTBD1、および2018年度に解析を開始したANKRD22に焦点を絞り解析を行う。STBD1についてはグリコーゲン輸送、グリコーゲン分解におけるN-ミリストイル化の機能をさらに詳細に解析するとともに、アポトーシス過程におけるカスパーゼ切断の生理的意義に注目し解析を行う。また、ANKRD22については、種々の小胞体膜タンパク質、特にreticulon, atlastin, reep, lunapark といった小胞体形成因子との相互作用を免疫沈降法を用いて解析することで、ANKRD22の小胞体形成因子としての機能について解析する。また、これまでの研究で解析してきたLunapark, TOMM40, SAMM50, STBD1, ANKRD22をはじめとする多数のN-ミリストイル化された膜タンパク質に関する知見を整理し、膜タンパク質に生ずるN-ミリストイル化の役割の全体像を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は、研究開始当初に予定していた使用予定額に近い研究費の執行を行ったが、初年度の研究で生じた次年度使用額が加算されていたため、その総てを使用する事無く実験を執行できたことから消耗品費に次年度使用額が生じた。この経費は、31年度の使用額と合わせて31年度の研究推進方策に記した研究内容の実施のために消耗品費として使用する予定である。
|
Research Products
(14 results)
-
-
[Journal Article] Identification and characterization of protein N-myristoylation occurring on four human mitochondrial proteins, SAMM50, TOMM40, MIC19, and MIC25.2018
Author(s)
Utsumi T, Matsuzaki K, Kiwado A, Tanikawa A, Kikkawa Y, Hosokawa T, Otsuka A, Iuchi Y, Kobuchi H, Moriya K.
-
Journal Title
PLOS ONE
Volume: 13
Pages: e0206355
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] N-myristoylation and S-acylation are common modifications of Ca2+ -regulated Arabidopsis kinases and are required for activation of the SLAC1 anion channel.2018
Author(s)
Saito S, Hamamoto S, Moriya K, Matsuura A, Sato Y, Muto J, Noguchi H, Yamauchi S, Tozawa Y, Ueda M, Hashimoto K, Koster P, Dong Q, Held K, Kudla J, Utsumi T, Uozumi N.
-
Journal Title
New Phytologist
Volume: 218
Pages: 1504-1521
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-