2019 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of organic matrices(proteins) involved in biomineralization of rice leaves
Project/Area Number |
17K07775
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
尾崎 紀昭 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50468120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常盤野 哲生 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50312343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イネ / シリカ / バイオミネラリゼーション / プロテオーム / ケイ酸 / 抗菌 / 有機マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
イネは葉身や籾殻の表層付近にケイ酸体(シリカ粒子の集合体)を形成し、多様な環境ストレスから植物体を防御することで、結果として穀物の安定的な生産につながっている。 ケイ酸が重合して固体の非結晶シリカになる「シリカバイオミネラリゼーション」の分子機構は珪藻、海綿動物、一部の細菌で解明されているが、高等植物では不明のままであった。 本研究では、イネの葉身からケイ酸体を単離し、ケイ酸体を構成するシリカに含まれるタンパク質を抽出することに成功し、プロテオーム解析により、普遍的な植物防御タンパク質(lipid transfer proteinやその類似タンパク質)であることを明らかにした。最終年度はこれらのタンパク質に対するポリクローナル抗体を用いて、免疫電子顕微鏡(immuno-SEM)観察を行った結果、葉身のケイ酸体内部にタンパク質が局在することが示された。またクライオ電子顕微鏡(Cryo-FIB-SEM)を用いてケイ酸体内部の構造をナノレベルで解析した結果、数十nmからなるシリカナノ粒子の周囲には多量の有機マトリックスが存在することを初めて確認した。一方、籾殻からシリカのみを分離することは困難であったが、フッ化水素酸で抽出される籾殻タンパク質の一部(ドメイン)は糖分解酵素と高い相同性を示すことが明らかとなった。これまでに同定したタンパク質群の中で弱いケイ酸重合活性を示す分子が存在したが、シリカ形成に対する機能は現時点では不明と言わざるを得ない。しかし、化学防御物質として機能し得るタンパク質群がイネのケイ酸体内部に含まれていることを示したのは本研究が初めてであり、これまで廃棄処分されていた稲わら、籾殻が優れた抗菌材料として利活用できる新たな可能性を示すことができた。
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