2019 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of novel heterocycles based on oxidative and radical coupling under mild and environmental benign conditions
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17K07776
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷森 紳治 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50207198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 超原子価ヨウ素 / プロリン / ラジカル反応 / 酸化的カップリング / メタルフリー / 複素環化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題のもと,いくつかのサブテーマ(①ヨウ素を利用した合成,②超原子価ヨウ素の反応性を利用した合成、③メタルフリーラジカルカップリング)にて研究を進めた. まず①では,2-アミノベンジルアルコールと、フェニルイソチオシアナートより合成したチオウレア体に対し,エタノール中トリエチルアミンの存在下,ヨウ素を反応させることで,脱硫を伴いベンゾオキサジンが良い収率で得られる反応を見出した.新規化合物を含む13の誘導体合成に適用し,基質適用性を明らかにした.さらにグラムスケール合成ならびに,中間体のチオウレア体を単離する必要のないワンポット合成も達成された.また類似の反応として、2-アミノフェノールを出発物質としたベンゾオキサゾールアミンの新規合成も達成した. ②では,(ジアセトキシヨード)ベンゼンを用いた穏和な酸化反応により,アニリンとβ-ジケトンの反応により得られるエナミノンのロダン化反応(チオイソシアナート化)反応を見出した.新規化合物を含む12の誘導体を合成し,基質許容性を明らかにした. ③では、2-ブロモベンズアミドと,イソシアナートから容易に合成出来るカルバモイルベンズアミドに対し,アミノ酸の一種であるプロリン存在下,カリウム-tert-ブトキシドを作用させたところ,環化体である4-キナゾリノンが好収率で得られる新規メタルフリー合成法を見出した.未知の化合物を含む23種の誘導体合成を達成し,基質許容性を明らかにした.さらに,ワンポット合成,グラムスケール合成,更なる誘導体の合成も行い応用範囲を拡大した.また,各種コントロール実験により,本反応がラジカル機構と,SNAr機構で進むことを明らかにした. 重要複素環化合物の環境調和に配慮した合成法を開発することで,医薬・農薬の探索合成研究ならびに,工業生産に貢献出来ると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の主目的である「穏和な酸化およびラジカルカップリングに基づく新規な環境調和型の複素環合成法の開発」に対し,主題に添った4つの新規合成法を開発出来たため,おおむね順調に進行したと考えている.一方で,ベンゾオキサジンならびに,ベンゾオキサゾールアミンの合成に関しては,より環境調和性ならびに資源の有効活用の観点から反応剤であるヨウ素の触媒化が必須であり,最終年度において触媒化達成を目指す.また、エナミノンのロダン化反応については,医農薬の部分構造に多い複素環化合物の合成への展開が途上であり,最終年度中に完結させる.
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Strategy for Future Research Activity |
ベンゾオキサジンの合成では,まずヨウ素の触媒化を検討する.過酸化水素等の安価で安全な酸化剤を用いる.また,誘導体合成における基質展開に関して,現段階では限定的であるため,更なる誘導体合成を行い一般性を検証する. ベンゾオキサゾールアミンの合成では同様に,過酸化水素等の酸化剤を組み合わせてヨウ素の触媒化を検討する.また,基質展開の拡張も行い,生成物の誘導体化などの応用研究も行う. 超原子価ヨウ素反応剤を用いたロダン化反応では,超原子価ヨウ素反応剤の触媒化を検討する.さらに環状化合物合成への展開も目指す. キナゾリノン合成は,ほぼ完成段階にあるが,生成物の有効利用の点から,N-アリール化の検討ならびにブロモ体のアニリン化反応の収率向上(現在35%程度)を課題とする. 以上が達成されれば,実用性がより高まると考えている.
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Causes of Carryover |
当初,前年度で研究計画を完結させる予定であったが,論文としてまとめるために、若干,追加実験等の必要が生じた。このため,本年度必要な予算額を計上することとなった。
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Research Products
(8 results)