2017 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of multivalent Neu5Gc-glycoclusters as probes to elucidate the mechanism of interspecies transmission of influenza virus
Project/Area Number |
17K07781
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
尾形 慎 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 准教授 (10532666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / シアル酸 / 糖鎖高分子 / 糖鎖クラスター効果 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、主にNeu5Gc含有糖鎖プローブの合成とそのライブラリー作製を行った。具体的には、我々がこれまで独自に開発した糖鎖クラスター合成技術や組換え糖転移酵素発現技術などを駆使することで、異種抗原型糖鎖“N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)”を特異的に認識するインフルエンザウイルス(馬インフルエンザウイルスなど…)に結合親和性を有するNeu5Gc含有糖鎖プローブの合成を行った。結果として、納豆菌が産生するγ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)にNeu5Gcα2,3LacNAc配糖体を多価に配位した新規糖鎖プローブ『poly[Neu5Gcα2,3LacNAc-β-O(CH2)5NH-/γ-PGA]』を合成することに成功した。また、本糖鎖プローブの各種類似体を合成することで糖鎖ライブラリーを作製した。これら種々の糖鎖プローブを用いて、3種類の馬インフルエンザウイルス(A/Ibaraki/1/2007、A/Yokohama/aq13/2010、A/Richmond/1/2007)に対する結合親和性の評価を、赤血球凝集抑制試験によって行った。その結果、poly[Neu5Gcα2,3LacNAc-β-O(CH2)5NH-/γ-PGA]は用いた3種類全ての馬インフルエンザウイルスと赤血球との凝集反応を抑制する効果があることを実証した。つまり、poly[Neu5Gcα2,3LacNAc-β-O(CH2)5NH-/γ-PGA]が馬インフルエンザウイルス表面の糖結合性タンパク質であるヘマグルチニンと構造特異的に結合するということを明らかにした。現在、本研究において馬インフルエンザウイルスに構造特異的な結合親和性を示した糖鎖プローブ{poly[Neu5Gcα2,3LacNAc-β-O(CH2)5NH-/γ-PGA]}を用いて、馬インフルエンザウイルスを吸着濃縮可能な糖鎖固定化微粒子表面の作製を試みている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた、馬インフルエンザウイルスに結合親和性を有するNeu5Gc含有糖鎖プローブ{poly[Neu5Gcα2,3LacNAc-β-O(CH2)5NH-/γ-PGA]}の合成が計画以上に進行したことにより、平成30年度以降に予定していた、本糖鎖プローブの微粒子表面への固定化実験などの研究に着手することが可能であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画に基づいて、今年度作製した糖鎖プローブを用いた糖鎖固定化プレートならびに糖鎖固定化微粒子の作製を行う。糖鎖固定化プレートは、シアル酸種の違いに基づく新しいインフルエンザウイルスヘマグルチニンの糖鎖認識特異性評価に使用する。糖鎖固定化微粒子に関しては、馬インフルエンザウイルスの新規濃縮技術への応用展開を図る。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度に予定していた研究が予定通り進行したため、次年度の研究に充てることにした。 (使用計画) 平成30年度に予定している糖鎖固定化プレートの作製および糖鎖固定化微粒子の作製に関する物品購入費に充てる。
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