2018 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of multivalent Neu5Gc-glycoclusters as probes to elucidate the mechanism of interspecies transmission of influenza virus
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17K07781
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
尾形 慎 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 准教授 (10532666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / シアル酸 / 糖鎖高分子 / 糖鎖クラスター効果 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、主に、Neu5Gc糖鎖を粒子表面に有する糖鎖微粒子の合成とその評価に関する研究を行った。 具体的には、初めに、平均糖鎖導入率を20%程度に調製したNeu5Gcα2,3LacNAc含有人工糖鎖ポリペプチドの残存するカルボキシ基とデシルアミンとを縮合反応することでデシル基の導入を行った。本反応により、ポリペプチド骨格内に馬インフルエンザウイルスに結合親和性を有する糖鎖分子が20%程度とデシル基が30%程度の割合で導入された疎水化糖鎖ポリペプチドの合成に成功した。続いて、本疎水化糖鎖ポリペプチドと直径が1μm程度で表面がヘキシル基で覆われた疎水化有機シリカ微粒子とを溶液中で混合することで、微粒子表面上への糖鎖ポリペプチドの固定化を試みた。結果として、本微粒子と糖鎖ポリペプチドとを30%DMSO水溶液中で混合するだけで、疎水相互作用に基づく糖鎖ポリペプチドの固定化が可能であった。なお、本糖鎖微粒子の構造確認は、シアル酸結合性レクチン(ニホンニワトコレクチン)との相互作用解析や走査型電子顕微鏡観察、物性評価などによって行った。 最後に、実験的に馬インフルエンザウイルスを感染させた4頭のウマより経時的に得られた鼻腔スワブを用いて、本糖鎖微粒子による吸着濃縮処理前後の馬インフルエンザウイルス特異遺伝子量の変化をリアルタイムPCRにより評価した。その結果、全頭の感染後の鼻腔スワブにおいて、本処理後では明らかな馬インフルエンザウイルス特異遺伝子量の増加が見られ、本処理による馬インフルエンザウイルス検出の感度向上が実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定をしていた、馬インフルエンザウイルスに結合親和性を有する糖鎖プレートおよび糖鎖微粒子の作製にそれぞれ成功した。さらに、糖鎖微粒子に関してはアメリカ化学会関連雑誌であるACS Applied Bio Materialsに投稿し、受理されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画に基づいて、馬インフルエンザウイルスの可視化識別法の開発に挑戦をする。具体的には、昨年度、合成に成功した馬インフルエンザウイルス結合性糖鎖微粒子をベースとして、ウイルスと相互作用時にのみ視的識別が可能な状態変化を起こすよう、材料の改良を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成30年度に予定していた研究が予定通り進行したため、次年度の研究に充てることにした。 (使用計画) 平成31年度に予定しているインフルエンザウイルス可視化システムの開発に関する物品購入費等に充てる。
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