2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of compound evaluation system based on pathway analysis using proteome analysis
Project/Area Number |
17K07783
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
室井 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (30261168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 標的同定 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
代謝阻害化合物のChemProteoBase解析、及び、解析システムの構築: 昨年度に引き続き2次元電気泳動を用いたプロテオーム解析に基づくChemProteoBaseの精度向上のためにデータベス拡張を行った。昨年度構築したHeLa細胞の2次元電気泳動イメージ上のスポットと同定情報を整理しマッピングして代謝関連タンパク質スポットの発現量を迅速に抽出し、定量的比較するシステムを用いて、スクリーニングで得られた化合物解析を行った。NPD2381は癌幹細胞様細胞を用いたセルベースの薬物スクリーニングによって取得された化合物であるが、ChemProteoBaseの拡張システムを用いて、NPD2381がセリン合成経路内の酵素の発現量を増加させることを見出し、ミドコンドリアを標的とする新規な選択的癌幹病抑制剤であることが示唆された(FEBS Lett, 593:763-776, 2019)。また、神経細胞の突起伸長作用のある新規化合物の解析では、ChemProteoBaseプロファイリングにより小胞体ストレスとの関与が示された(Mol Pharm, 16:1423-1432, 2019)。また、光親和型化合物ビーズを用いた、結合たんぱく質データベースを構築することによって、結合たんぱく質の探索を加速するシステムを作成して、それを利用して癌関連線維芽細胞の遊走阻害剤の関連因子の同定を行った(J Biol. Chem., 294:2988-2996, 2019)。このほか、ChemProteoBaseの手法についてMethods and Protocols, Methods in Molecular Biology, (1888:127-139, 2019) にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ChemProteoBaseのデータベースの拡張は作用標的の明らかな既知物質を用いた解析を行うことによって順調に進んでおり、解析データが増えている。これよって、推測可能な標的の数が増えることが期待される。本解析系を用いて、新規化合物の標的の解析も進みつつある。同定済みのスポットについての整理も進んだため、システムの基盤が整い、より多くの解析情報の得られるシステム構築につながっている。以前からの共同研究について、本解析系を用いた幾つかの成果に結びついたことも、現行システムを改良することによって、化合物の分子標的解析への精度向上が進んでいる。また、2次元電気泳動のデータだけでなく質量分析計を用いたデータの取得や他の解析系のデータを取得し始めており、これらのデータを組み合わせることによって、対応できる化合物が増えることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 引き続きChemProteoBaseシステムの改良のために、データベース拡張を行う。代謝関連化合物に加え、関連が予想される化合物についてプロテオーム解析を行う。 2) 現行のシステムをさらに改良して、解析の制度を上げていく。 3) 構築したシステムを用いて、既知化合物、並びに、スクリーニング系で得られた新規化合物の解析を行い、化合物の標的を推測し、検証実験を行うことによって解析系の確からしさを示す。
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Causes of Carryover |
昨年度は解析プログラムの開発に注力したために、解析法の開発や利用については進んだが、経費のかかるウエットのデータ取得が十分にできなかった。本年度は、昨年度開発した解析法を改良するとともに、標的分子の予測結果の実証実験やデーターベースの拡張などを行うデータの取得をおこなう。 1)既知代謝阻害剤ならびに新規化合物のChemProteoBase解析:構築したシステムの有用性を検証するために、引き続き、既知化合物やスクリーニングで得られた新規化合物について解析し、標的を予測し、フラックスアナライザーで解糖系や呼吸に及ぼす作用を検討したり、MorphoBase, 結合タンパク質の解析、トランスクリプトーム解析などを組み合わせてバリデーション解析を行う。 2)代謝系解析システム構築ならびに改良:蓄積した解析データを用いて、作成したマイニングシステムを評価する。化合物の評価を通して、システムをチューニングする。UniprotやNCBIのタンパク質データベースや、KEGGなどの代謝データベース、Pathway解析などのデータベースからのデータを利用するために、マイニングシステムを改良する。さらに、機械学習的要素を取り込み、蓄積した既知化合物のデータから特徴抽出を検討し、代謝パスゥエイに関与するスポットを見出し、解析システムの制度の向上を図る。
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