2017 Fiscal Year Research-status Report
Anti-aging effect of transthyretin stabilizing food-derived bioactive compounds
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17K07791
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 主典 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (90254565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味八木 茂 広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗老化 / 食品機能成分 / トランスサイレチン / アミロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
老化にはさまざまな要因があるが、加齢に伴い変性・不溶化したタンパク質が生体内に蓄積しアミロイドを形成することも主要な要因の一つである。本研究では、アミロイド形成タンパク質の一つであるトランスサイレチン(transthyretin: TTR)の安定化作用を有する食品機能成分の探索とその抗老化効果について検討を進めている。 本年度は主に探索とin vitroモデルでの評価を進めた。食品機能成分数十種類とハーブ等の抽出物についてTTR安定化効果をthermal shift assay法で検討した。その結果、数種類の成分及び抽出物にTTR安定化作用を見出した。また、体内での代謝物の中にもTTR安定化作用を示すものもあった。次に、比較的高い安定化作用を示したものについては、酸によるTTRの変性に対する効果についても検討した。酸性条件下でTTRと試料を共存させ、24時間ごとに回収し電気泳動で変性抑制作用を検討したところ、ほとんどのものが安定化作用を示した。従って、微量のTTRと試料で探索できるthermal shift assayはTTR安定化作用を持つ食品機能成分の探索に有効であることが確かめられた。 Thermal shift assay法と酸変性でTTR安定化作用を示した成分のうち、効果の高い成分については老化促進マウスへの経口投与を開始した。TTR安定化作用を持つ機能成分の効果については、行動科学試験での評価を進めると共に、最終的には各種臓器でのTTRの沈着を抑制し抗老化効果を示すかどうか生化学・組織化学的に検討する。なお、老化促進マウスでは加齢に伴って脳内でTTRの沈着が見られ、それが脳機能低下と関連する可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TTR安定化作用を持つ食品機能成分を効率良く探索する系を用いて、複数の有効成分を見出すことができた。また、in vitroの結果とほぼ一致することも確認したことから、今後より効率的に探索を行うことができる状況となった。さらに、食品機能成分だけでなく、生体内に存在するその代謝物にも効果を見出したことから、その機能成分を経口摂取することによる効果も期待できることを示すことができた。 老化モデル動物である老化促進マウスの脳内でもTTRの沈着が生じること、またその抑制が脳機能保護に重要であることを確認できた。従って、TTR安定化作用を持つ食品機能成分は、TTRの沈着を抑制することにより加齢に伴う脳機能の低下に対して保護的に働くことが期待できると考えられる。 以上の研究成果はほぼ当初の研究計画どおりであることから、研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きTTR安定化作用を持つ食品機能成分の探索を続けると共に、有効成分についてはin vitroモデルでの評価を行い、実験動物への経口投与でも効果の期待できる成分を絞り込む。一方、老化に関連している正常型TTRが強い毒性を示すまで変性(オリゴマー化、不溶化)するには非常に長い時間を要することから、より効率的な変性条件の検討をする必要がある。短時間で正常型TTRが毒性を示す変性条件を確立すれば、機能成分の有効性についてin vitroで効率的に評価できる上、動物実験も効果的に進めることができる。 現在実験動物に投与を行っている成分については行動科学試験で評価すると共に各種臓器への影響について分子生物学・生化学・組織化学的手法により評価を行う。その後、新たに見出した成分について経口投与を開始する。
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