2018 Fiscal Year Research-status Report
Basic study on antitumor effects of the extracts derived from novel brown algae with a cancer cell-specific cell death inducing effect.
Project/Area Number |
17K07793
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
照屋 輝一郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (10273971)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | フコイダン / 抗腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がんの化学療法の補助食品としての応用を目的として、新奇褐藻由来抽出物である酵素消化低分子化フコイダン抽出物 (LMF) がもつ、がん細胞特異的な抗腫瘍効果の検討を目的としている。平成30年度はがん細胞形質に関わるLMFの生理機能の検討を行った。ヒト線維肉腫細胞株HT1080細胞に低レベル濃度 (10 μg/mL以下) のLMF処理を行ったところ、細胞にアポトーシスは誘導されないもののHT1080細胞のがん形質への抑制効果があることが明らかとなった。低レベルLMF処理HT1080細胞における上皮成長因子受容体 (EGFR)、血管内皮細胞増殖因子 (VEGF)、マトリックスメタロプロテアーゼ-2/9 (MMP-2/9)、そしてRho A/Bの発現を定量RT-PCRで評価したところ、Rho Bを除く全ての遺伝子は下方制御され、Rho Bは上方制御されていた。HT1080細胞におけるこの応答は、低レベルLMF処理がHT1080細胞のがん機能へ抑制効果を示したものと考えられた。さらに低レベルLMF処理はがん細胞が生体の免疫から回避するために働くPD-L1の遺伝子発現を下方制御し、低レベルLMF処理によって細胞のPD-L1タンパク質の発現レベルが有意に抑制されることが確認された。以上のことより、低レベルLMF処理はがん関連遺伝子の発現を調節することでがん細胞形質に関わる表現型を変化させることが考えられた。また、抗がん剤とLMFの併用による抗がん効果の増強効果の検討を行った。HT1080細胞や他のがん細胞株において、抗がん剤カルボプラチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、ゲムシタビンとLMFの併用処理を行ったところ、併用処理を行うことでがん細胞死誘導効果が増強されることが確認されたが、抗がん剤の作用機構の違いやがん細胞株の種類によりがん細胞死誘導効果の感受性に違いがあることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の検討項目であった、がん細胞のがん形質に及ぼすLMFの生理機能の検討、抗がん剤とLMFの併用による抗がん効果の増強効果の知見が得られた等、研究は概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究推進に関して大幅な変更は現時点では必要ないと考えられる。計画書に従い目標達成に向け研究を遂行する。研究実施においては、LMFによるがん細胞がん形質改変機構の解明、抗がん剤とLMFの併用処理による抗がん効果の増強と抗がん剤副作用軽減作用の検討、LMFによるがん細胞特異的なアポトーシス誘導機構の解明に関して検討を行っていく予定である。
|
Research Products
(2 results)