2018 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of involvement of vagus nerve in physiological activity of flavonoids
Project/Area Number |
17K07808
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
橋本 直人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (20414758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 黒大豆色素抽出物 / 迷走神経肝分枝 / ラット / マウス / 食餌効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイドの生理作用発現におけるメカニズムを明らかにする目的で、様々な臓器間を連絡している迷走神経(VN)のフラボノイドの生理作用発現における役割を評価する実験を行った。 最初に、フラボノイド高含有の黒大豆色素抽出物(BE)の糖代謝に及ぼす影響と、それに対するVNの役割を評価した。VNの切除(Vx)または偽手術(Sham)を行ったラットを用意し、インスリン抵抗性を誘導するための高脂肪食(HF)、またはBE添加高脂肪食(BF)をそれぞれのラットに12週間投与した。その結果、Sham-HFラットと比較し、Sham-BFラットでは食餌効率(摂取した飼料1gに対する体重増加量)が有意に低下し、脂肪の消費を促進する脱共役タンパク質(UCP)が増加する傾向が見られたが、Vx-BFラットではそれらの変化が消失した。このことから、高脂肪食摂取による肥満は黒大豆色素摂取により抑制されたが、その機構としてVNを介したUCPの発現量増加が部分的に関与する可能性が示唆された。また、VxまたはShamを行ったマウスに対し、ストレプトゾトシンを投与することで糖尿病を発症させ、それぞれに正常食(CT)またはBE添加食(BC)を6週間投与したが、血液等の各種指標において、群間の有意差は見られなかった。 次に、BEの不安抑制作用を評価した。予備実験により、当初予定していた評価系であるビー玉埋め試験はさらなる条件検討を要すると判断したため、オープンフィールド試験に変更した。また、強制投与ではマウスの行動に影響が出るほどのストレスがかかったことから、食餌を介してフラボノイドを投与することにした。それを踏まえ、VxまたはShamを行ったマウスに対してCTまたはBC食を1週間投与し、高架式十字迷路試験とオープンフィールド試験に供した。現在、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた高脂肪食による糖代謝異常ラットに対するフラボノイドの作用機序の解明と迷走神経の肝分枝の役割を評価することが出来た。また、フラボノイド投与動物における抗不安作用についても、現在、解析段階にある。糖尿病動物に対するフラボノイドの効果と迷走神経の役割に関する評価も、望んでいた結果ではなかったものの、一応、評価することが出来た。高果糖食による糖代謝異常と迷走神経の関連性についても論文投稿中であることから、当初の予定通り、研究が進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
フラボノイドの抗不安作用と迷走神経の関連性を見た試験の解析を進める。 また、本年度実施した高脂肪食投与ラットでは糖代謝よりも脂質代謝の異常が強く出ており、フラボノイドがそれを改善したと考えられることから、次年度にコレステロール添加飼料を用いた脂質代謝異常動物に対するフラボノイドの効果と迷走神経の役割を評価する。 また、本年度実施した実験の解析を進め、結果を論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては、比較見積もり等を実施することで、全般的に経費の削減が出来た。しかし、予想以上に予備実験に費用がかかったことから、実質的には、物品費、旅費、その他の使用額は申請時のものとほぼ同額であった。人件費に関しては、本年度は、行動解析実験の導入および条件の検討に多くの時間を費やしたことから、研究補助を要することが少なかったため、差額が発生した。次年度は、当初予定していなかった実験を行うため、本年度発生した差額をその実験に当てる。
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