2017 Fiscal Year Research-status Report
新規の有用フラボノイドを見つけるための仮想代謝マップの構築
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17K07810
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
櫻井 望 公益財団法人かずさDNA研究所, 技術開発研究部, チーム長 (30392286)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フラボノイド / 仮想代謝マップ / メタボローム解析 / フラボノーム / LC-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
植物由来の代謝成分フラボノイド類は、抗酸化作用、抗ガン作用、ホルモン様作用などの生理活性を示すものが多く、機能性食品や医薬品への利用が期待されている。申請者らは、質量分析によるメタボローム解析とバイオインフォマティクスを駆使し、約7000種のフラボノイドを高感度に判別できるフラボノーム解析基盤(FlavonoidSearch)を構築し、新規のフラボノイドが身近な野菜などにも多数存在することを確認した。本研究では、50種以上の様々な植物でフラボノームを比較し、生合成経路の共通性・差異を一覧できるフラボノイド仮想代謝マップを構築する。この仮想マップは、新規フラボノイドとその生合成遺伝資源を探索する基盤となり、分子構造改変による有用フラボノイドの創出への活用が期待できる。 平成29年度は、フラボノームの取得と仮想代謝マップを描くための基盤データの構築を実施した。市販の野菜や、モデル植物であるヒメツリガネゴケ、ゼニゴケ、ポプラ等を含め、20目以上に渡る100種以上の植物(部位)に関して、液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析(MS)およびエレクトロスプレーイオン化(ESI)法によるポジティブイオン分析を実施した。質量分析では、イオントラップ型MSにより、MS2およびMS3フラグメントを取得し、FlavonoidSearchによるフラボノイドアグリコンの推定に供試した。食品としての植物試料の一部の推定結果については、本年度構築した食品メタボロームレポジトリ(http://metabolites.in/foods)より公開した。一方、既知のフラボノイド構造をもとに、配糖体等の置換基のバリエーション情報を整理し、仮想的な配糖化の経路を表データとして取りまとめた。この情報から、ウェブに掲載する代謝マップを自動作成するため、代謝マップを描画するSVGの仕様を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フラボノームの取得は、当初の想定以上に進捗した。未知アグリコンを探索するための情報学的手法の開発や、代謝マップの具体的な作成は、予定よりやや遅れているが、平成30年度以降十分に達成できる範囲である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者が別機関へ移籍することに伴い、想定していた技術員の協力を得ることができなくなるため、平成30年度以降に予定していた生合成経路遺伝子の単離は断念せざるを得ない。一方、新規フラボノイド成分の単離精製および構造決定は、外注により実施可能であるので、遺伝子単離に見込んでいた予算をそこに充当する。初年度、データ取得が想定以上に進んだため、情報処理による仮想代謝マップの構築・公開に注力して行く。
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