2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of BSA-non-precipitable tannin in red wine and its possible role on palatability
Project/Area Number |
17K07812
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
奥田 徹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10252008)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ワイン / ポリフェノール / タンニン / ブドウ |
Outline of Annual Research Achievements |
赤ワインにおいてポリフェノール類は色調・渋味・苦味を与える重要な成分である。特にアントシアニン類は色を,タンニン類は渋味を与える成分として,多くの研究が行われてきた。赤ワインに含まれるポリフェノール類の半分はタンニンである。タンニンは口中で唾液タンパク質と結合して不溶性の沈殿を形成したり,粘膜のタンパク質と結合することで,引きつった感触を与えることにより,渋みを与えることが知られている。しかし,タンニンの構造は複雑なうえ,比較的低分子のものから数千以上の分子量を持つものも多く含まれ,ヘテロな構造である。また,ワイン中では,タンニンは分子内架橋などにより構造が複雑化し,加水分解すら出来ないのが現状であり,研究が遅れている。
このようにタンニンの構造は複雑であるが,タンニンがタンパク質や多糖類に結合する性質を利用して,タンニンの定量法が開発され,ワインの研究分野では広く用いられている。特にタンパク質(牛血清アルブミン)によりタンニンを沈殿させて定量するBSA沈殿法は,広く用いられてきた。しかし,この定量法では推定されるタンニン濃度の半分程度しか定量できないことがわかってきた。
そこで,本研究ではタンパク質によって沈殿しないタンニンがあるのではないかとの仮説を立て,その存在について調べてきた。その結果,予想通り,タンニンの半分はBSAによって沈殿しないものであり,唾液等によっても沈殿物を形成しないポリフェノールが,赤ワイン中に多量に存在することが明らかになった。
|