2017 Fiscal Year Research-status Report
凍結濃縮相内で構造化を制御する食品機能性カプセルの創製と開発
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17K07813
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 究也 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90433325)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 凍結濃縮 / マイクロカプセル / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質や多糖といった天然高分子から作製できる微粒子は,食品栄養素や機能性物質を体内へ適切に送達・放出するカプセルとして利用できる.様々な特性を有するカプセル微粒子を設計するにあたり,微粒子の特性を制御できることが求められるが,そのためには粒子のナノ構造の制御が重要である.微粒子の構造や特性制御と関わる種々の技術の中で,本研究では特に凍結を利用した手法に着目し研究を進めてきた.これまでに得られた知見では,凍結を利用することによって粒子の疎水性度と関わる特性の制御や,消化時の粒子構造を変化させることができることが分かってきた.疎水性度や消化性と関わる粒子特性は,生体内における粒子の挙動やバイオアベイラビリティと強く関わると期待できるため非常に興味深い. 当初研究計画では,種々の条件にて作製した微粒子に対し放射光X線を用いた小角X線散乱(SAXS)によるナノ構造解析を平成29年度より実施する予定であったが,本年度は水溶性ミネラルのキャリアとして適用する場合の検討を先行して進めることとした.卵白と水溶性ミネラル(鉄)を分散・溶解させた溶液を作成し,これを種々の条件にて凍結させ,その後凍結乾燥を経て鉄を内包させた粉末微粒子を作製した.作製した粉末を模擬消化液中で消化酵素を作用させ,ミネラルの放出速度を測定した.比較のため,噴霧乾燥法によって作製した粉末に対し同様の放出試験を実施し比較した.鉄の放出は凍結,乾燥の過程で進行する変性の進行度に依存して変化する傾向が確認され,今後も当初研究計画項目に従って検討を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた小角X線散乱による構造解析を実施できなかったものの,次年度から実施を予定していた項目を先行して着手できた.おおむね順調に研究を遂行できている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画に盛り込んでいた内容を,大きな変更無しに実施していく.凍結操作による特性改変を主眼とした研究ではあるが,その効果が顕著で無いと判断される場合にはさらに有効な手法の検討に軸足を移すことも検討する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験の実施時期が次年度にずれ込むこととなったため,当該経費を次年度に繰り越した.
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