2017 Fiscal Year Research-status Report
Effects of mitigation of competition in rhizosphere between tree and understory vegetation on nitrogen dynamics and tree growth through mycorrhiza
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17K07830
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福澤 加里部 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (10456824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 武士 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (10524275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ササ / 林床植生 / 土壌窒素 / 細根 / 外生菌根 / 樹木 / 一次生産 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
冷温帯林において樹木と地下資源をめぐって競争しているササの消失が、森林の土壌窒素動態および外生菌根菌動態を介して樹木生長へ及ぼす影響を明らかにするために、ササ地上部を実験的に除去し、その前後での土壌窒素量や土壌環境、細根動態、樹木の生産量および外生菌根の形成率を調べた。北海道北部の冷温帯林内で成熟したミズナラ(Quercus crispula)個体の周囲にプロットを設定し、ササ除去区ではクマイザサ(Sasa senanensis)地上部を刈り取り、プロット外へ搬出した。そして刈り取りを行わない対照区と比較した。各プロット内においてササ除去処理前後に土壌中の無機態窒素(硝酸態、アンモニウム態)量、土壌環境(土壌水分、地温)、細根量と細根生産量、微生物バイオマス窒素、ミズナラ葉生産量を定量した。また、ミズナラ細根の外生菌根形成率を測定した。 土壌中の硝酸態・アンモニウム態窒素量は処理前後ともに処理区間で有意な差はなく、ササ除去処理1年目の土壌の無機態窒素量にササ除去処理の影響は見られなかった。形態別ではアンモニウム態窒素が多くを占めた。土壌水分率はササ除去後に低下することはなく、土壌の乾燥化は見られなかった。ササ除去前の細根量は、樹木根とササ根の間で有意な差がなく、両者は地下資源をめぐって拮抗していた。一方、ササ除去後の細根生産量は処理区間でほぼ同等であったが、ササ根は減少し、その減少分を樹木根が補償していた。土壌の微生物窒素はササ除去区で高まる傾向があった。ミズナラ根の外生菌根形成率、ミズナラ葉生産量にはササ除去処理の影響はみられなかった。 以上から、冷温帯林でのササ除去直後には土壌の無機態窒素量の変化は小さいことが示された。これはササ除去後もササおよび樹木への窒素吸収が維持されることや、微生物への窒素の取り込みも増加したために、生態系内で窒素が保持されたためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
森林における調査地・プロット設定とササ除去処理前の土壌・植物に関する観測を行い、またササ除去処理を実施して処理直後の観測データを採取することもできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ササは地下茎を発達させるために地上部を1回刈っただけでは消失しないので、引き続きササ刈り取りを複数回行う予定である。そしてササ除去からの時間経過により、土壌窒素動態や細根動態、樹木の生長がどのように変化するか明らかにするために、継続して各データを採取していく。外生菌根菌の種組成解析に関しては、ササ除去処理前のデータを得ることができたが、処理後データについても今後引き続き解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)