2017 Fiscal Year Research-status Report
Three-dimensional image comprehensive analysis of the proteins produced in the Japanese birch plantlet infected with a canker-rot fungus
Project/Area Number |
17K07833
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
横田 信三 宇都宮大学, 農学部, 教授 (60210613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10293911)
鈴木 智大 宇都宮大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10649601)
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60273489)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MALDIイメージング / シラカンバ / カバノアナタケ / プロテオーム解析 / 菌感染特異的タンパク質 / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、菌感染特異的タンパク質のMALDIイメージング用の器官及びタンパク質を選定するために、カンバ類の癌腫病菌カバノアナタケIO-U1株に感染したシラカンバ幼植物体No.8の根及び葉・葉柄に生成する菌感染特異的タンパク質のプロテオーム解析を行った。菌感染2日後、植物体を収集し、根及び葉・葉柄からそれぞれタンパク質を抽出した(T)。対照として無傷・無菌(C1)及び傷処理(C2)した植物体からも抽出を行った。各タンパク質の二次元電気泳動後、ゲルをCoomassie Brilliant Blueで染色し、画像解析を行った。解析の結果、根においては、Tで発現した総タンパク質は944個であり、菌感染特異的タンパク質は194個であった。尚、C1及びC2で発現した総タンパク質は、それぞれ600個及び808個であった。一方、葉・葉柄では、Tで発現した総タンパク質は508個であり、菌感染特異的タンパク質は180個であった。 本年度では、病原菌と宿主における既知遺伝子の発現量解析、及び未知の発現領域の同定と定量を行うために、3ヶ月生のシラカンバ幼植物体No.8の主茎、及びカバノアナタケIO-U1株菌体から、RNAの抽出を行った。TRIzol LS Reagentを用いてRNAを抽出し、電気泳動した結果、菌体からはある程度のRNAの泳動像が得られた。しかし、シラカンバ幼植物体では、明瞭な泳動像が見られず、RNAの抽出量が微量であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度行った根及び葉・葉柄に生成する菌感染特異的タンパク質のプロテオーム解析、そして以前に行った主茎のプロテオーム解析により、菌感染特異的タンパク質のMALDIイメージング用の器官及びタンパク質を、ほぼ選定することが出来た。しかし、選定したタンパク質の同定が必要である。 以前の研究で生成が示唆された、縮合型タンニンのMALDIイメージング用サンプルの収集も順調に進んでいる。また、縮合型タンニンの抽出及び構造解析(核磁気共鳴分光法(NMR)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化・飛行時間型質量分析法(MALDI/TOF/MS))用サンプルの収集も順調に行っている。 RNA-Seq用のカバノアナタケIO-U1株菌体、及びシラカンバ幼植物体No.8の主茎からのRNAの抽出については、菌体からはある程度抽出できたが、幼植物体からは微量しか抽出出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、MALDIイメージング用に選定した、根及び葉・葉柄で検出された菌感染特異的タンパク質を、ある程度の量をゲルから収集し、ゲル内消化後、得られるペプチドを高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法で分析し、得られたデータをデータベース検索にかけ、それぞれタンパク質を同定する。 菌感染2日後のシラカンバ幼植物体の菌接種近傍から、横断面及び縦断面の切片を作成し、これらを用いて縮合型タンニンのMALDIイメージング解析を行う。これと並行して、シラカンバ幼植物体から縮合型タンニンを抽出し、これをNMR及びMALDI/TOF/MSを用いて分析し、得られた縮合型タンニンの構造解析を行う。この構造解析データを、縮合型タンニンのMALDIイメージング解析にフィードバックして行く。 切片上で切片中のタンパク質を直接トリプシンにより消化し、得られるペプチドをMALDI/TOF/MS測定し、ターゲットとなるペプチドを探索すると同時に、強度の高いペプチドについてMALDIイメージングを行う。 カバノアナタケIO-U1株とIO-B2株のDNAシークエンシングを行うために、C-TAB法でDNAを抽出する。RNAを除去するために、抽出液にRNAase Aを作用させてアガロース電気泳動を行い、得られるDNAの純度と量を確認する。十分な量と純度のDNAが得られたら、これをDNAシークエンシングにかける。シラカンバ幼植物体主茎からのRNA抽出については、これまで-20℃で保存していた植物体を使用したが、今後は、-80℃で保存した植物体を用いて、RNAを抽出する。抽出により、十分な量と純度のRNAが得られたら、これをRNA-Seqにかける。
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Causes of Carryover |
研究分担者側で切片サンプルのMALDIイメージング解析を行ってもらう予定であったが、使用する分析装置に重大な故障が生じ、年度内に解析を行ってもらうことが出来なかった。そのため、このMALDIイメージング解析に使用する予定であった予算に残額が生じてしまった。 現在は、使用予定の装置の修理が終わり、順調に稼働しているので、今年度は昨年度実施出来なかった分も含めて切片サンプルのMALDIイメージング解析を行い、その際、この次年度使用額と今年度予算を合わせて使用する。
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