2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on growth control of containerized sugi (Cryptomeria japonica) seedlings
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17K07835
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹下 健 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (20179922)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スギコンテナ苗 / 伸長抑制 / 暗所処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は2ヵ月間の暗所処理によるコンテナ苗の伸長成長制御実験を、5月~12月にかけて実施した。暗所処理中の伸長成長は5月の苗で2cm程度と最も大きく、以降、徐々に小さくなり、8月以降の苗ではほとんど伸長しなり、昨年度と同じ結果であった。暗所処理中の伸長成長は、伸長途中の細胞の伸長によるものであった。1ヵ月の暗所処理では枯死や衰弱(一部の葉の枯れ)する苗は少なかったが、夏季の苗に2ヵ月の暗所処理を行うと枯死や衰弱する苗が昨年度よりも多く発生した。昨年に比べて室温が高かったことが影響した可能性がある。昨年度に比べて、暗所処理苗で、植栽後に枯死する苗が多かった。特に今年度の6月は降水量が少なく土壌が乾燥していた時に植栽を行ったため、暗所処理を行っていない対照苗はほぼすべての苗が活着したが、暗所処理苗は大半が枯死もしくは衰退した。12月下旬に植栽した暗所処理苗はすべてが枯死した。同じ時に植栽した対照苗の枯死率は2割程度であった。昨年度植栽した苗の6月下旬までの伸長成長量を測定した、対照苗に比べて1ヵ月暗所処理苗は差が見られなかったが、2ヵ月暗所処理苗では伸長成長量が小さい傾向が認められた。植栽1ヵ月後の細根伸長量は、夏季には対照苗と暗所処理苗で差がないが、秋以降は対照苗に比べて暗所処理苗の方が少ない傾向が認められた。雨が少なく土壌が乾燥気味であったときに植栽した長期間暗所処理苗で枯死する苗が多かったことから、植栽後、すぐに細根が土壌中に伸長しない可能性が考えられた。来年度は、暗所処理期間中と植栽後の細根伸長の経時変化を対照苗と暗所処理苗で比較し、植栽後の細根伸長への暗所処理の影響を明らかにする予定である。植栽後のコンテナ苗の暗所処理に関する研究成果は、第130回日本森林学会大会でポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暗所処理による伸長成長抑制実験を計画通り実施するとともに、植栽後の活着や成長への影響についても知見が得られており、育苗技術の確立に向けて計画に即した成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年の植栽試験として苗畑に植栽した苗の平成31年4月以降の成長を測定し、暗所処理によって伸長成長が停止した期間が長いことが、その後の苗の伸長成長を低下させる可能性について明らかにする。暗所処理当初は細根が伸長するが、しばらくして細根が伸長しなくなることを観察している。暗所処理期間中から植栽1ヵ月後にかけて細根伸長量や水ポテンシャルを定期的に測定し、暗所処理の細根伸長への影響を明らかにする予定である。以上の結果を基に、現場で使用可能な技術かどうかの評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
伸長抑制の方法として、暗所処理と潅水制限を想定して研究を行ってきた。暗所処理については、伸長抑制が可能であるが長期間の暗所処理による負の影響が示唆されたため、それを確認するための実験が必要になったため。一方、潅水制限については、裸苗育成に用いられる根切り処理に匹敵する程度の水ストレスを葉温によってモニタリングすることが可能か検討したが、十分なデータが得られていないため。
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Research Products
(1 results)