2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07840
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 麻美 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60273497)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ヒノキ / 雄花 / 花粉飛散予測 / 最高気温 / 平均気温 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒノキ花粉の飛散量が各地で増大しており、花粉飛散量の予測精度の向上が急務である。ヒノキは花粉抑制と木材生産の両方を求められているが、幹成長が大きい林分では花粉生産も大きいことが予想されるため、両者のバランスを適切に図ることが難しい。本研究では、ヒノキ花粉生産量の予測精度の向上および花粉抑制と木材生産のバランスを図る森林管理手法を開発することを目的として、調査林分を高知県の人工林に10林分、京都市内に人工林1林分と天然更新した二次林に10林分を設定した。 スギ、ヒノキの花粉飛散の予測モデルの変数には前年夏の気温(平均、最高)や降水量が用いられている。用いられている気象条件の期間は月単位のものが多いが、モデルによって様々である。予測精度の向上には、前年夏の気象条件が開花結実に最も強く影響及ぼす時期と期間を明らかにすることが必要である。 気温条件の影響を詳細に評価するため、気象台の日平均気温、日最高気温を用いて、7月1日から1日刻みの基準日を設定し、基準日の前後の期間(10日間から5日間刻みに50日間)における気温の平均値を算出した。2005年以降に豊作年を観測している京都市の3林分における13年間の雄花生産量を目的変数として、各基準日における各期間の気温を説明変数に用いた重回帰分析を行い、AICでモデルを比較した。 平均気温、最高気温ともに、いずれの期間でも7月中旬にかけてAICが小さくなる変動を示し、25日間で最小となった。平均気温よりも最高気温の方がベストモデルのAICは小さかった。この解析によってヒノキの雄花生産量にもっとも影響が強く及ぶ気温の基準日と期間を推定できることが示唆された。花粉飛散予測の向上のためには、この解析を他地域の林分について実施し、基準日や期間の地域差と一般性について検討することが必要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査林分の設定、試料採取などの調査を予定通り実施できた。前年夏の気象条件とヒノキ雄花生産量との関係を明らかにする手法の検討が進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒノキおよびスギの雄花、または花粉の生産量について各地で観測された既報値を用いて、前年夏の気象条件との関係について同様の手法で解析を進めることにより、一般性、地域性を明らかにする。また、雄花生産への間伐の影響についても検討していく。
|
Causes of Carryover |
試料処理のための補助者の雇用開始が当初の予定より遅くなったこと、化学分析の試料点数が予定よりも少なくなったことで消耗品の使用も少なくなり、次年度使用金となった。 分析を進めるとともに、成果発表と情報収集のための旅費などに使用する。
|
Research Products
(2 results)