2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07840
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 麻美 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60273497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒノキ / 雄花生産 / 地域 / 葉生産 / 間伐 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒノキ花粉生産量の予測精度の向上および花粉抑制と木材生産のバランスを図る森林管理手法を開発することを目的として,高知県の人工林,京都市内の人工林と天然更新した二次林において雄花生産量と森林管理の関係について調査を継続した。今年度は,(1)雄花生産に間伐が及ぼす影響について,(a)異なる標高域での比較,(b)長期データの解析,(2)雄花生産量を葉生産あたりで示す手法の再検討,をおこなった。 (1)(a)ヒノキの雄花生産量に間伐が及ぼす影響を高知県内の標高域が異なる2地域で比較した。雄花生産に間伐が及ぼす影響は地域によって異なることが示唆された。また,通常の間伐率であれば,雄花生産は間伐後に大きく増加しないことが示唆された。 (1)(b)群状間伐を実施した京都市内の3林分において,12年間の観測から雄花生産に間伐が及ぼす影響を解析した。林分面積あたりでみると雄花生産量は伐採後も同等か増加を示した。葉生産あたりでみると伐採区で対照区より大きい傾向を示し、残存個体は葉に対して雄花生産を増加させていた。長期的な増減は明らかでなかった。 (2)雄花生産量を葉の生産量あたりで示す手法について,今年度は,間伐後の樹冠葉量の変化を,葉生産量をパイプモデルに基づく方法で推定する林分と,この方法を適用できない林分では落葉量の増加から推定する方法とを併用することで推定精度を向上させた。一般的に用いられる林分面積あたりの生産量で評価する手法では,雄花生産への間伐の影響に地域による差異は認められなかった。したがって,林分面積あたりの生産量で評価する場合には,間伐影響を予測することは難しい。一方,葉生産あたりの生産量で評価すると,林分面積あたりの生産量の解析では認められなかった間伐および地域の影響が検出されたことから,間伐影響を評価する手法として葉生産当たりの雄花生産量は有効であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
林分調査,試料の採取と分析を定期的に実施した。雄花生産と,葉および幹の生産との関係について解析を進めていく上で必要となる,パイプモデルに基づく手法での葉量,枝量の推定方法を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
各調査区の試料について分析を進めて,豊凶変動と気象条件,長期的な変動,雄花生産と葉および幹の生産との関連性,間伐が及ぼす影響,地域による差異についての解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
年度末に学会が開催中止となったことによる。調査および分析を進めるとともに、成果発表のための英文校閲や旅費などに使用する。
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