2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07840
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 麻美 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60273497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒノキ / 雄花生産 / 間伐 / 林分条件 / 気象条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒノキの雄花生産への林分条件と伐採の影響を明らかにするために,京都市北区におけるヒノキ林の同一斜面の3箇所(上部,中部,下部)に,無間伐の対照区と間伐区を設定した。間伐区では,調査区内に数本のヒノキを残す群状間伐を2000年に実施した。2005年から2020年までの16年間にわたる雄花生産量について,斜面位置、間伐,年,前年7月の最高気温と降水量,これらの交互作用を説明変数とした重回帰分析を行った。解析の結果,前年7月の最高気温が高いほど,降水量が少ないほど,雄花生産は大きくなる傾向を示し,年変動は前年7月の気象条件で説明することができた。斜面位置と間伐の交互作用が認められ,間伐の影響が斜面位置によって異なった。対照区と比べて伐採区では,上部,中部,下部の順に同程度,増加,やや減少という傾向を示した。対照区の雄花生産量が小さいところほど,間伐後の増加が大きくなった。間伐と年,間伐と斜面位置と年の交互作用はいずれも認められなかった。間伐後の変動については,斜面位置ごとに期間を通じて同様であった。ヒノキの雄花生産への間伐の影響は斜面位置によって異なり,対照区で生産量が小さいところほど影響が大きいことが示された。伐採後に雄花生産量がどのように変化するのかという伐採の効果は,林分条件によって異なること,伐採の効果は年数が経過しても変わらないこと,が長期観測によって示された。また,この調査林分の対照区における1999年から2018年までの林分状況の変化を解析した結果,ヒノキは二山型の分布を示し,下層の個体の枯死が進行していた。林分状況の変化に伴う雄花をはじめとする各器官への物質分配について検討する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,サンプルの処理や解析がやや滞った。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析とサンプルの処理を進めて成果発表につなげる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大によって成果発表のための旅費を使う機会がなかった。論文作成にかかる英文校閲とサンプル処理で使用する計画である。
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Research Products
(2 results)