2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K07840
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 麻美 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60273497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒノキ / 雄花 / 気象条件 / 梅雨 / 酷暑 |
Outline of Annual Research Achievements |
酷暑がヒノキの花粉生産に及ぼす影響を評価することを目的として,京都市内の3林分(17年間)と京都府北部の綾部市内の2林分(16年間)におけるヒノキ雄花の生産量データについて,前年夏の気象条件とヒノキの雄花生産との関係について解析した。気象条件(平均気温,最高気温,降水量,日照時間)は,梅雨明け(平年値)を基準にした期間を設定して各期間の平均値または合計値を変数とし,ステップワイズで変数を選択した。強い影響を及ぼす気象要因と時期を調査区ごとに明らかにした。解析の結果,気温または日照時間と降水量の2~3変数が選択され,複数の気象要因を変数に用いることで予測の精度が高まった。また,気象条件を月単位や旬単位で区切るよりも高い予測精度が得られた。梅雨明け前後(最大4週間)または梅雨明け後(最大4週間)の高温と多照により雄花生産は増加する傾向を示す一方,梅雨明け前後の期間の降水量は全調査区で抑制する効果を示した。調査区によっては梅雨明け後の多照が負の効果を示した。各調査区における予測モデル式の降水量の係数は土壌含水率と正の相関関係が認められたことから,降水がもたらす影響は各林分の土壌水分によって異なると考えられた。京都府の2地点の観測林分ではいずれでも梅雨明け前後最大4週間の期間の気象が雄花生産に重要であった。梅雨から暑夏の気象は地域で異なるが,梅雨明けを基準とすることで地域ごとに雄花生産に重要な気象要因と時期を絞り込める可能性が示唆される。 また,「平成30年7月豪雨」後は記録的な酷暑となったが,翌2019年の雄花生産は大豊作とはならなかった。夏の気温が上昇傾向を示し,雄花生産を増大させる効果がある一方,近年頻発している梅雨期の集中的な大雨は雄花生産を抑制する効果があると考えられた。酷暑となっても梅雨期の大雨によってヒノキ花粉の大飛散は生じにくいことが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析方法および結果について慎重に検討を重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域内および地域間での比較を行う。間伐の影響,樹冠葉量の変化との対応について評価を進める。
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Causes of Carryover |
解析および論文作成に慎重を期すため。
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