2017 Fiscal Year Research-status Report
シイタケの木材分解能力に与える環境ストレスの影響評価
Project/Area Number |
17K07848
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上村 真由子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60444569)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シイタケ / 木材腐朽菌 / バイオマス / 呼吸 / 環境ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シイタケをモデルケースとして、環境ストレスが分解者の分解能力に与える影響を明らかにするための実験を行っている。本年度の計画として予定していた、1)定量PCR法を用いたシイタケの定量手法の確立と、2)木材片を用いた室内培養実験を完了した。1)については、人為的にシイタケ菌体の含有率を変化させたサンプルからDNAを抽出し、定量PCRを行って、既知のDNA濃度に対するCT値のキャリブレーションを得た。特に、樹木に含まれるPCRの阻害物質の希釈のため、DNA抽出方法や希釈倍率の検討を行い、未知試料の定量を可能にした。2)については、木材片を用いた室内培養実験を行い、シイタケ菌体の増殖に伴う呼吸速度の変化を明らかにした。また、培養した木材片に高温、乾燥、湛水条件の処理を行い、シイタケ菌体バイオマスと呼吸速度の環境ストレスへの応答を明らかにした。一方で、木材片を用いた室内培養実験では、シイタケの木材中の蔓延が不均質なため、シイタケ菌体バイオマスの代表値を得るのが難しいことも明らかになった。これについては、次年度で木粉を用いた室内培養実験を行うことで、より精度高く評価することを目指す。 次年度に計画していた3)シイタケホダ木を用いた野外栽培実験を開始し、自動測定装置を稼働させて呼吸速度の連続観測と定期サンプリングも前倒しで行っている。自動測定装置を用いた枯死木呼吸への環境ストレス影響については、これまでに得たデータをもとに論文を書き進めることで、野外実験のための知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画として予定していた1)定量PCR法を用いたシイタケの定量手法の確立と、2)木材片を用いた室内培養実験を完了したうえに、次年度の計画として予定していた3)シイタケホダ木を用いた野外栽培実験を開始し、自動測定装置を稼働させて呼吸速度の連続観測と定期サンプリングを前倒しで行っているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
木材片を用いた室内培養実験において得られた知見より、より少量のサンプルを用いた実験を組むことが良いと判断されたため、木粉を用いた室内培養実験を行い、より精度高く、シイタケ菌体バイオマスと呼吸速度の関係や、環境ストレスの影響を明らかにする。また、自動測定装置によって得られたデータの解析から、野外での環境ストレス影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度では、自動測定装置を5台稼働させる予定であったが、設計などに時間がかかり、3台しか稼働していない。次年度では、次年度使用額を用いて、残りの2台を稼働させる予定である。
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