2017 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of microbes colonized by Acacia species in Ethiopia and application to agroforestry.
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17K07851
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
香山 雅純 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 林業領域, 主任研究員 (60435584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00571788)
内海 俊樹 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (20193881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 緑化 / アーバスキュラー菌根菌 / 根粒菌 / アカシア / アグロフォレストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
エチオピア北部のティグライ州における、様々な場所に生育するアカシア類と作物の根系に共生する共生菌類について予備的な調査を行い、将来的にDNA解析を行うためのサンプルを採取した。また、アカシア類と作物のアーバスキュラー菌根菌については実体顕微鏡で観察し、菌根菌の感染率を算出した。その結果、コムギについては、生育環境によって感染率は大きく異なった。具体的には、ティグライ州北東部のKilte Awulaelo試験地では、自生するAcacia etbaicaの分布がまばらな上部と、Faidharbia albidaが植栽されている砂質土壌の地域においては、コムギの菌根菌感染率は45%以上の高い値を示した。この2ヶ所の試験地は、水分環境の悪い立地であった。アーバスキュラー菌根菌は宿主の水分の吸収に関わり、水分ストレスを受けやすい環境下では、菌根菌の感染率が上昇するため、水分の吸収を促進させるために菌根菌の感染率が高いと推察された。また、ティグライ州南部のEmba alaje試験地では、アーバスキュラー菌根菌の感染率は先ほどの地域より低く、特に成長の悪い個体の感染率は低かった。根粒菌についてはソラマメとエンドウについて根粒の調査を行い、両種とも確認することができた。ソラマメは生育の良い立地と悪い立地で根系の発達や根粒菌の数が異なり、悪い立地では根系の発達が貧弱で、根粒菌の数も少なかった。 アカシア類4種 (Acacia etbaica, A. saligna, A. abyssinica, Faidharbia albida) のアーバスキュラー菌根菌の感染率については、いずれも80 %を越える高い感染率を示し菌根菌との高い共生関係を有していることが分かった。一方、根粒菌については、A. salignaでは根粒を確認できたが、他の樹種においては確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は菌根菌と根粒菌のDNA解析のために、MTAを締結してサンプルを日本に持ち込む予定であった。しかし、担当機関であるEthiopian Biodiversity Instituteでは、MTAはエチオピア国内では分析できないという正当な理由がなければ承認されないとのことであった。また、すべての関係機関からの公的証明書を得る必要があるとのことから、今年度中に締結できなかった。 また、次年度以降のアグロフォレストリーの試験地をティグライ州農業研究所の研究者と選定を行った。しかし、試験地を所有する農家の地主が科研の配布額で支払いきれない高額な料金を請求したため、合意に至らなかった。そのため、本試験課題の進捗はやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は年度早々にメケレ大学の研究者とアグロフォレストリーの試験地についての打ち合わせを行い、早い段階で試験地を決定し、アカシアの苗木を植栽する予定である。また、菌根菌と根粒菌のDNA解析のために、MTAを締結できるよう努める。
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Causes of Carryover |
今年度の使用額については、研究分担者にDNA解析を行うための研究費を75万円配布していたが、サンプルを日本に持ち込めなかったために、研究費を使用できなかった。そのため、研究分担者に配布した研究費は全額繰越となっている。次年度では、MTAを締結してサンプルを持ち込めた場合は、研究分担者がDNA解析のために75万円を使用する予定である。また、残りの約25万円については、次年度における研究代表者の海外旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)