2018 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of microbes colonized by Acacia species in Ethiopia and application to agroforestry.
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17K07851
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
香山 雅純 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60435584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00571788)
内海 俊樹 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (20193881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / 根粒菌 / アカシア / アグロフォレストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、アカシア類4種 (Acacia etbaica, A. saligna, A. abyssinica, Faidharbia albida) に共生する菌類の調査を実施した。その結果、全てのアカシア類において、アーバスキュラー菌根菌の感染を確認した。一方、根粒菌については、A. etbaica, A. abyssinica, Faidharbia albidaにおいて確認できなかったが、A. salignaのみで確認することができた。2019年度にはマメ類 (ガラスマメ) のアグロフォレストリーの試験を実施する予定であることから、根粒菌の明確な感染を確認した本種を用いてアグロフォレストリーの試験を実施することとした。なお、A. salignaに共生する根粒菌は極めて多様であることが過去の研究で報告されているため、A. salignaとガラスマメにおいて共通の根粒菌が感染して、収量を増加させると期待される。 今年度は、アグロフォレストリー試験を実施するための試験地についての、メケレ大学の研究者と打ち合わせを行い、メケレ近郊のKilte Awulaelo郡Kihen村に試験地を設定した。Kihen村の公共地に21 m×15 mの試験地を設定し、周囲を家畜の侵入を防ぐために有刺鉄線を用いた柵で囲んだ。その後、試験地全体について耕起を行った。耕起後、Kilte Awulaelo郡Wukro町の苗畑から、A. salignaの苗木を100本購入した。そして、村試験地の半分の区画 (21 m×7 m) にA. salignaの苗木を1 m×2 mの間隔で4列、合計80本植栽した。なお、10本の苗は補植用に試験地の隅に植栽した。残る10本の苗は、苗木のバイオマスを測定するためにサンプリングを実施した。A. salignaの苗木の根についた土壌を水道水で落とし、乾燥機を用いて70℃で2日間乾燥した。また、アーバスキュラー菌根菌の感染を観察するために、一部の根のサンプルをFAA 固定液に入れて、冷蔵庫に保管した。なお、サンプリングしたA. salignaの苗木からは、いずれも根粒を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アグロフォレストリーの試験については、試験地を設定し、アカシアの苗木を植栽できたことから、順調に進展している。 その一方で、本研究では、実際にどのような共生菌類が感染しているかを特定するため、DNA解析を実施する予定であった。しかし、サンプルの国内持ち込みのためのMTAについては、担当機関であるEthiopian Biodiversity Instituteの承認を得られる見通しが立たないことから、国内へのサンプルの持ち込み及びDNA解析は事実上不可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
Kihen村の試験地について、作物 (コムギ・オオムギ・ガラスマメ) の栽培試験を実施する。試験地内のAcacia sglingnaを植栽したブロックと、植栽していないブロックの両方に作物を播種し、成長や収穫量を比較、検討する。 共同研究者との研究体制については、2020年度に現地に赴き、共生菌等の調査を実施する方向で調整している。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究分担者に平成29年度に配分した750,000円を使用することができなかった。その理由として、これらの予算は国内に持ち込んだサンプルを用いてDNA解析を実施するための費用で、サンプルの持ち込みが事実上不可能な状況のために使用できなかった。次年度以降もDNA解析を実施できる見込みがないため、これらの費用は、次年度以降にエチオピアの現地における共生菌調査のために使用する予定である。
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