2017 Fiscal Year Research-status Report
有用針葉樹種における遺伝子組換えを伴わないゲノム編集技術の確立
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17K07854
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
七里 吉彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (80461292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 崇 鳥取大学, 農学部, 准教授 (30585584)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 直接導入 / スギ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム編集技術とは、ゲノムDNAの狙った領域のみを特異的に改変させる技術であり、ゲノム情報を活用した革新的な育種高速化技術として林木育種への利用が期待されている。しかし、植物でゲノム編集を適用して新しい系統を作出するためには、遺伝子組換えによりゲノム編集に必要な要素を遺伝子発現カセットの形でゲノムDNAに導入する必要があり、この導入遺伝子を除去するためには交配作業が必要である。幼若期間の長い樹木において、これらの作業は10年以上の長期間を要するため、現実的ではない。本課題は遺伝子組換えを伴わないゲノム編集技術をスギなどの有用針葉樹種で確立することが目的である。我々は膜透過性ペプチド (CPP) を利用し、ゲノム編集の要素 (タンパク質およびRNA) を細胞内へ直接導入することで本課題の達成を目指している。 本年度はゲノム編集の要素を直接導入する予備実験として、赤色蛍光タンパク質 (RFP) の直接導入の最適化を目指した。RFPとCPPを融合させたタンパク質とスギの細胞を共培養し、細胞内のRFP蛍光を観察することでRFPの細胞内への取り込みを観察すると共に、蛍光プレートリーダーにより定量した。当初その取り込み効率は先行して行っていたタバコBY-2細胞のそれと比較して1/10程度であった。しかし、共培養の時間を延長することで、RFPの取り込み量はBY-2細胞のそれと同レベルにまで増加することが明らかとなった。 さらに、ゲノム編集の要素であるゲノム切断酵素とCPPの融合タンパク質のリコンビナント発現系の最適化に成功し、次年度の実験に供することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、蛍光タンパク質のスギ細胞への導入条件の最適化に成功した。さらに、ゲノム切断酵素とCPPの融合タンパク質のリコンビナント発現系も確立でき、次年度の実験を計画通り行うことができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集要素のスギ細胞への直接導入を試みる。ゲノム編集はゲノム編集要素が核内に移行することで初めて起こるので、ゲノム編集要素が核内に移行していることを、ゲノム編集要素に付加した標識の観察により確認する。
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Causes of Carryover |
研究遂行のため共同研究者と鳥取県鳥取市での打ち合わせを予定していたが、お互い同じ学会に参加しており、会場にて打ち合わせも行ったことから、打ち合わせ回数が減り次年度使用額が生じた。これらは次年度の消耗品費に充てる。
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