2018 Fiscal Year Research-status Report
樹木のゲノム編集とその生物学的影響の解明-ポプラの花芽形成を標的として-
Project/Area Number |
17K07856
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
西口 満 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 真一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10578438)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ポプラ / CRISPR/Cas9 / 遺伝子組換え / 成長 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、ポプラの花成抑制遺伝子と推測されるPnTFL1遺伝子およびPnFTL3遺伝子をゲノム編集して機能を失った遺伝子組換えポプラについて、成長や花成、光合成、植物ホルモン、遺伝子発現などを調べ、ゲノム編集の影響を明らかにすることを目指す。本年度も、前年度と同様に短日条件(明9時間、暗15時間)でゲノム編集ポプラおよび非遺伝子組換えポプラを挿し木で増殖した。それらを長日条件(明期16時間、暗期8時間)に移し育成した結果、13系統のゲノム編集ポプラの全てが花成したが、非組換えポプラでは花成が起こらず、ゲノム編集ポプラの花成促進の性質が再現された。ゲノム編集ポプラの成長特性を明らかにするため、2週間ごとに樹高を測定した。しかし、茎頂の花成による伸長停止や多数の萌芽枝の伸長のため、ゲノム編集ポプラおよび非組換えポプラの樹高の測定値は極めて雑多であり、比較は困難であることがわかった。16週間育成した後に茎と葉を分けて収穫し、バイオマス(乾燥重量)を測定した。ゲノム編集ポプラは非組換えポプラよりも、茎および葉のバイオマスが小さい傾向にあった。この結果は、花成により茎の伸長や葉の大きさが抑制されたためと考えられた。窒素代謝への影響を調べるため、葉抽出液中の遊離アミノ酸含量をHPLCで分析した。ゲノム編集ポプラは非組換えポプラに比べて葉面積あたりのグルタミン酸の量が多い傾向にあったが、アスパラギン酸および他の18種のアミノ酸については違いが認められなかった。花成に関わる遺伝子発現の変化を調べるため、長日条件に移行後、0、4、8、12週後に葉を採集し、RNAを抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募時の研究計画調書に記載した平成30年度の研究計画である成長特性、花芽形成、アミノ酸分析、および遺伝子発現解析の材料準備を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、最終年度は、ゲノム編集したポプラにおける遺伝子発現の解析等を進める予定である。
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Causes of Carryover |
生じた次年度使用額は、物品費および謝金の支出が当初計画よりも少額だったためである。物品費では、ゲノム編集ポプラのアミノ酸測定が順調に進んだため、使用する薬品類が予定よりも少なくて済んだ。謝金については、非常勤職員の雇用期間が当初の予定よりも短期間だった。 次年度は、ゲノム編集したポプラにおける遺伝子発現解析や植物ホルモンの解析を行うため、物品費、旅費、謝金を使用する計画である。 また、生じた次年度使用額は、研究成果の論文公表のため、英文校閲費や論文掲載料として使用する計画である。
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