2018 Fiscal Year Research-status Report
九州のスギの起源を探る-系譜情報に基づく九州スギ遺伝的リソースの成り立ちの解明-
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17K07857
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
武津 英太郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター 九州育種場, 主任研究員 (10370826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 敦史 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10360471)
栗田 学 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター 九州育種場, 研究室長 (40370829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スギ / 在来品種 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、九州各県の林業研究機関の担当者と連携した在来品種のサンプル収集を完了した。収集したサンプル数は昨年度と合わせて計約800サンプルである。これらのサンプルを、7座のSSRマーカーを用いてグルーピングした結果、約110の共通の遺伝子型を持つグループに集約された。また、リファレンスとなる九州内外の古木・天然林由来の個体の収集も行った。 また、在来品種とリファレンスサンプルを合わせて計16サンプルについてランダムプライマーを用いたアンプリコンベースの大規模ジェノタイピング解析手法を試行し、今回のサンプルにおいて利用可能であることを確認した。 九州では数百年以上にわたってスギさし木造林が繰り返される中で特徴的な在来品種群が成立している。その血縁関係や遺伝構造の解明は、九州におけるスギの起源の解明や林木育種を通した森林の生産性の向上や多様性の維持に向けて必須である。 本年度の成果により、これまで九州各県の林業研究機関で管理されていた在来品種について、その全体を網羅した遺伝子型情報を取得することができた。これにより、九州全体での在来品種の活用や遺伝資源としての保存に向けた基礎となる情報を得ることができた。 また、九州の在来品種群のグルーピングとリファレンスとなる九州内外の古木・天然林由来の個体群の収集を終えたこと、および利用する大規模ジェノタイピング手法を決定したことから、平成31年度に行う予定である九州のスギ遺伝的リソースの大規模遺伝子型情報に基いた系統学的解析の実行準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに九州の在来品種群のグルーピングとリファレンスとなる九州内外の古木・天然林由来の個体群の収集を終えたこと、および利用する大規模ジェノタイピング手法を決定したことから、予定通り大規模遺伝子情報に基いた系統解析を行うことが可能となったため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
グルーピングを行った在来品種群、およびリファレンスサンプル群について、大規模遺伝子型の取得を行う。手法としては、ランダムプライマーを用いたアンプリコンベースの次世代シークエンスを行い、そこから遺伝子型情報を抽出する。得られた遺伝子型情報に基づき、九州の在来品種群の遺伝構造の解明や、リファレンス集団に対する系統学的解析による九州の在来品種の起源の解明を目指す。また、九州全体での在来品種の活用や遺伝資源としての保存に向けた基礎となるデータベースの作成を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度は大規模ジェノタイピングのための消耗品の利用を予定していたが、予定していた手法以外の新たな手法が利用可能となったため、一部サンプルを用いてその有効性を評価した。そのため、予定していた消耗品分の助成金を次年度使用とすることとした。 利用する大規模ジェノタイピング手法が確定したため、次年度使用額と平成31年度助成金の一部を合わせて大規模ジェノタイピングのための費用として使用する予定である。
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