2017 Fiscal Year Research-status Report
樹冠拡張プロセスの解明に向けた3次元樹木モデルの時系列解析手法の構築
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17K07858
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
平岡 裕一郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所林木育種センター, 主任研究員 等 (50370862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 宏 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40302757)
松下 通也 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所林木育種センター, 主任研究員 等 (70624899)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3次元点群 / 樹木モデリング / 樹冠 / 伐倒調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元点群データに基づく樹木モデルの時系列解析に向け、過去に計測済みの試験林における点群データの再計測を実施した。また、試験林内での相対光量子密度の測定を行った。さらに、これまで取得した点群について、異なる計測点で得られたデータの統合(レジストレーション)の精度を確認し、解析用データの精査を行った。 今年度はこれまで開発した樹木モデリング手法の改良を進めた。その結果、幹についてはより複雑な形状に対するモデリングが可能となった。さらに枝構造の検出手法を再検討し、よりロバストに検出可能な方法を開発した。 葉の点群は幹や枝の検出の際に誤差の要因となるため、樹木モデリングの際の問題となっていた。このため、葉由来の点群を除去する方法として、反射強度の利用の検討を進めてきた。今年度は、これまでの手法を他のデータセットに適用することを試みた。その結果、反射強度情報のある点群データセットについては、これまでと同様に葉由来の点群の除去が可能であることを確認した。 樹冠部のモデリングによる定量化及び形状情報取得のため、点群をボクセルとして集約したデータの利用を試みた。その結果、ボクセル情報から個体ごと樹冠モデリングに成功し、樹冠体積、表面積等の定量化と形状情報を詳細に取得することができた。 樹木モデルによる形態形質の推定の精度を検証する目的で、3次元計測した試験林において計測個体の一部を伐倒し、地上高別の幹、枝、葉のサイズあるいは現存量を測定した。その結果、高さ別の幹の直径や葉の現存量は高い推定精度であることを確認した。 樹木モデルの時系列レジストレーション手法の開発に向け、同一林分で異なる年次に複数回計測した3次元点群データセットを計測年次ごとに解析し、樹木モデル構築を進めた。さらに、異なる時間断面で得られた個体位置情報の重ね合わせに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の当初計画のとおりに課題を遂行できた。取得した点群データを時系列解析等に供するにあたり、異なる計測点のデータのレジストレーションの精度が重要となる。今年度の課題実施中に、既存のデータに一部低精度な部分が認められたため、再レジストレーションとデータ精査を実施した。今後もこうした問題が発生することが予想されるため、その対応のための準備として、解析前のものも含めたデータの整理を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
対象林分における3次元計測として、過去に計測した試験林における点群データの再取得を実施する。時系列レジストレーション手法の開発として、異なる時間断面で取得された樹木モデルの重ね合わせを、前年度よりさらに細かなスケールで試みる。その結果を基に、枝葉の時系列的な空間配置変化の定量化手法の開発を進める。さらに、点群データと光量子束密度の実測値を統合し、林内の光量子束密度推定モデルの開発を進める。
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Causes of Carryover |
年度当初は、解析環境の拡張のため新たな計算機及び記憶媒体の購入を予定していたが、当年度中については既存の設備で対応可能であると判断したため、予定していたものの一部の購入を見合わせた。また、3次元点群データの取得のための役務費を見込んでいたが、既存の機器による計測で対応可能であったため、当該支出がなかった。これらの理由から次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、研究課題の進捗に伴い新たに取得したデータや解析結果を格納する必要性が増大するため、大容量記憶媒体を購入する。また、試験林内の樹木個体の系統管理として、一部の材料についてDNA分析による確認の必要性が生じているため、その分析用試薬の購入に当てる予定である。
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Research Products
(5 results)