2019 Fiscal Year Annual Research Report
Risk assessment of decay on Sakhalin-fir consequent of wounds on stems or roots injured by logging machines
Project/Area Number |
17K07861
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
山口 岳広 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トドマツ / 林業機械作業 / 腐朽菌 / 幹・根系損傷 / レンガタケ / カワラタケ / 条件付き推測樹木法 |
Outline of Annual Research Achievements |
トドマツの幹・根系の傷から生じた腐朽の進展状況と、侵入した腐朽菌を分離・同定し関与する腐朽菌を明らかにするため、トドマツ幹・根系の損傷部位から発生した腐朽の進展距離を非破壊的腐朽探査機器を用いて調査し進展速度を推定した。併せて損傷部から幹・根系に侵入した腐朽菌の分離を行い、培養菌株を用いて形態やDNA 塩基配列の相同性等から種の同定を試みた。トドマツの幹・根系の傷由来の腐朽の進展状況を調査し、傷面積が大きいと年当り腐朽進展長も増大する傾向があり、傷面積が腐朽の進展に影響を与えることが示唆された。侵入した腐朽菌を分離し種の同定を試み、既に報告のあるレンガタケが比較的高い頻度で分離された。その他多様な腐朽菌が分離されたが頻度は低かった。 林業機械で意図的に損傷したトドマツ立木を伐採・解体し腐朽の進展と腐朽菌分離を行なった。上述の調査結果と同様、傷面積が大きいと腐朽進展長は増大する傾向が見られた。腐朽菌は夏と冬の損傷時期で明らかに異なり、腐朽菌の種類により感染する季節が異なることが示唆された。 トドマツ立木に傷由来の腐朽菌を接種し腐朽の進展状況を調べた。剥皮処理後のレンガタケ接種で非常に大きな腐朽進展が見られ、この菌の腐朽進展力が強いことが判明した。同様に傷を模した剥皮処理後にカワラタケをトドマツに接種し、剥皮処理=傷の存在によって腐朽菌の定着・進展が促進されることが判明した。 損傷由来腐朽の進展状況から得られたデータで損傷からの腐朽侵入に関わる要因を条件付き推測樹木法などで解析し腐朽被害リスクのモデル化を試み、傷面積が腐朽の侵入に大きく関わり、損傷発生からの経過年数や損傷後の材露出の有無も影響していることが明らかとなった。
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