2019 Fiscal Year Annual Research Report
Hybrid vigor processes of Larix gmelinii x L. kaempferi revealed by molecular phenology
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17K07863
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
福田 陽子 (後藤陽子) 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 (00370825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 陽子 北海道大学, 農学研究院, 研究員 (30532452)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カラマツ / グイマツ / 雑種強勢 / フェノロジー / 遺伝子発現 / 木部形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
グイマツを母樹、カラマツを花粉親とするハイブリッドカラマツ(通称:グイマツ雑種F1、以下F1とする)の雑種強勢プロセスの解明に向けて、グイマツ、カラマツ、F1を対象に、開葉・葉中クロロフィル量のフェノロジーおよび形成層活動のフェノロジーにおける樹種および雑種特性を明らかにした。光合成活動に関連して、針葉における遺伝子発現プロファイルのフェノロジーについても種間比較を行った。 葉フェノロジーにおいては、F1はカラマツとグイマツの中間的な特性を示し、開葉、黄葉ともにグイマツ、F1、カラマツの順に早く、種間変異だけではなく種内変異も認められた。F1の遺伝子発現プロファイルは、開葉期には開葉の早いグイマツに、黄葉期は黄葉の遅いカラマツにそれぞれ類似しており、両親種と比較して光合成期間が長い可能性が示された。また、成長に優れたF1品種の両親クローンは、同一樹種の他のクローンと比較して黄葉が遅い傾向が認められ、光合成期間の長さが良好な成長の一因であると推察された。 樹木の肥大成長は、形成層帯の活動期間や分裂速度に影響される。カラマツ、グイマツ、F1の形成層活動期間を解明するために、2017-2018年に各樹種の成木の幹から試料を採取して光学顕微鏡観察を行った。形成層活動の再開時期は、3樹種とも種内変異はあるものの、5月上旬から中旬であることが推察された。形成層活動終了時期は、カラマツとグイマツでは種内変異が大きく、8月上旬から9月上旬であった。一方、F1は観察した全ての個体で9月上旬以降であり、2017年、2018年ともに、F1の形成層活動終了時期は他の2種よりも遅かった。したがって、F1は両親種と比較して光合成期間および形成層活動期間のいずれも長く、このことが雑種強勢の一因と考えられた。
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