2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒノキ栄養組織由来シングルセルからの効率的なクローン増殖技術の開発
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17K07867
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
細井 佳久 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 毅 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒノキ / サワラ / 多芽体 / シングルセル / マイクロマニピュレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
国産針葉樹のスギについては、種子胚細胞を利用した不稔個体作出などの研究開発が行われている。同様にヒノキやサワラについても、ゲノム編集などの遺伝子改変による育種を推進することは重要である。しかし、スギに比べ組織・細胞培養技術を用いた植物体再生系の開発はあまり進んでいない。そこで、本課題では葉条切片や種子胚を材料とした再生系の開発を目指している。H29年度はヒノキ、サワラの葉条切片から多芽体を誘導し、シュート伸長させることができた。ヒノキについては発根させ、幼植物体を作出できた。H30年度は得られた幼植物体を人工気象機内で順化し、苗高約15cmのポット苗を作出した。また、H29年度では無選抜個体を実験材料としたが、今回は新たに屋外で育種選抜されたヒノキ成木個体について、多芽体を誘導した。サワラのシュートについてはH29年度はカルス化し、発根に至らなかったが、ショ糖無添加でオーキシンを含む1/2MS固形培地に移植するとカルス化することなく発根し、幼植物を得ることができた。細断した多芽体を暗黒下、液体振盪培養することで得られた増殖細胞について、植物生長調節物質としてオーキシンとサイトカイニンを組み合わせ、硝酸アンモニウム濃度を1/2に下げたMS改変固形培地に移植し、蛍光灯照明下で静置培養すると緑色を呈し、カルス増殖した。また、種子胚から誘導した増殖細胞について、液体培地で培養した際に遊離するシングルセルをマイクロマニピュレーターでピックアップし、96ウェル培養プレートに1ウェルあたり1細胞ずつ滴下し、培養した。その結果、不定胚形成能力を持つ培養細胞を再生させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多芽体由来のヒノキ幼植物について、順化してポット苗を作成することができた。また、新たに育種選抜された個体から多芽体を誘導することができた。この場合、培養条件は前年度と同一であり、多芽体誘導培地としての汎用性が認められた。発根が困難であったサワラについて、ショ糖無添加の培地で培養することで、ヒノキ同様発根個体を得ることができた。多芽体由来の液体培養細胞について、多芽体誘導用固形培地へ移植することでカルス増殖させることができた。種子胚由来のシングルセルについて、1細胞ずつ分けて培養することで不定胚形成能力を持つ増殖細胞を再生させることができた。得られた増殖細胞は、今後不定胚成熟、発芽培地へ移植することで植物体を得られる可能性が高い。多芽体由来のシングルセルを含む培養細胞と、種子胚由来のシングルセルから増殖細胞が得られたため、全体としておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒノキ同様、サワラについても順化してポット苗を作成し、多芽体由来による植物体再生系の確立を行う。多芽体や種子胚由来のシングルセルについて器官分化・個体再生を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は国際会議等の高額な海外出張旅費が見込まれることから、人件費等をおさえたため。
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Research Products
(6 results)