2017 Fiscal Year Research-status Report
水熱処理及びイオン液体処理から得られる天然型キシランの構造と酵素による分解挙動
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17K07874
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| Research Institution | Shinshu University |
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Principal Investigator |
水野 正浩 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (60432168)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 植物細胞壁 / イオン液体 / キシラン / リグニン / アセチルキシランエステラーゼ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物細胞壁内に含まれるキシラン構造の多様性に着目し、天然構造を維持したキシラン画分を調製することで、実バイオマスに対する酵素の正確な反応特性を解析し、キシラン成分の利用拡大に向けた基礎的知見を得ることを目的としている。現在、キシランを代表するヘミセルロースの調製法は主にアルカリ処理による抽出が中心であるが、この手法ではエステル結合が加水分解されるため、キシランに付加されたアセチル基の脱離や、キシランとリグニン間を架橋するエステル結合の分解などが生じ、厳密には天然状態に近いキシランを調製することができない。我々は、これまでに、水熱処理法を用いるとキシランにアセチル基を残存させたまま回収することが可能であることや、イオン液体処理を用いるとヘミセルロース及びリグニンの一部がイオン液体中に溶け出たまま再析出物として回収できない現象を見出してきた。本研究では、水熱反応及びイオン液体処理に着目し、天然状態に近いキシラン成分の調製方法の構築を目指している。また、得られたキシラン成分に対する細胞壁分解酵素の作用機序を解析することを目指している。
今回、草本系の資源作物であるエリアンサスを実験材料に用いてイオン液体処理を実施した。エリアンサス粉末をイオン液体によって加熱溶解処理後、脱イオン水の添加によりセルロースを主成分とする画分を再析出させ取り除いた。再析出しなかった可溶性画分を回収後、更に透析によってイオン液体を十分に除去することで、キシランとリグニンを主に含む沈澱成分を収率よく回収できることを明らかにした。最終的にイオン液体を含む透析外液中にはキシロースなどの単糖は検出されなかった。今後は、キシランとリグニンとの結合の有無を検証し、酵素反応性を解析していく予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、イオン液体処理によって最終的に得られる透析外液、即ち、イオン液体を高濃度で含む溶液中の糖分析を、配位子カラムを用いたHPLCにより分析することができた。また、実験手法を見直すことで、イオン液体中に溶解した植物細胞壁成分の回収率を上げることに成功し、その成分中にはキシラン及びリグニンが含まれることをFTIRにより確認することができた。
リグニン-糖複合体の解析に用いる酵素の調製は、アセチルキシランエステラーゼについては組換え体酵素の調製が完了した。α-グルクロニダーゼについては、現在、形質転換体の作製を試みている。
以上のように、当初計画に沿った形で順調に研究が進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られたリグニン-糖複合体が多く含まれていると示唆される画分を用いて、これらの中にリグニン-糖複合体が含まれているかの検証を行う。具体的には、リグニン-糖複合体を形成するエステル結合を加水分解する酵素（4-o-メチルグルクロニルエステラーゼ）を用いて酵素処理を行い、その結果得られる物質の構造同定を行うことで、エステル結合の有無の検証を行う予定である。また、上記の酵素が働く基質は、4-o-メチルグルクロン酸を側鎖に有するキシランである。そこで、4-o-メチルグルクロン酸を比較的多く含む広葉樹などの木質系のバイオマスについてもイオン液体処理を行い、検証を行っていく。
モノコンポーネント酵素の調製については、昨年に引き続き、α-グルクロニダーゼの組換え体の調製を行う。各モノコンポーネント酵素については、個々の酵素学的諸性質を明らかにした後、イオン液体処理によって得られたリグニン-糖複合体成分に作用させ、その酵素反応性の評価を行っていく。
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Research Products
(3 results)
