2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞内遺伝子解析が明らかにする海産有毒微細藻ディノフィシス属の餌料生物
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17K07886
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西谷 豪 東北大学, 農学研究科, 助教 (70450781)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 渦鞭毛藻 / 貝毒 / 餌料解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有毒プランクトンの一種であるDinophysisを研究対象とし、DNAを用いた解析によってその餌の正体を種レベルで特定し、海洋生態系においてこれまで知られていなかった微生物食物連鎖の一端を明らかにする。2018年度の成果を下記にまとめた。 ・2017年度(初年度)に開発したDinophysis属の餌料解析手法を改良した。これにより、さらに効率良く餌料生物のDNAを検出することが可能となった。・この手法を用いて、Dinophysis rotundata、Dinophysis acuminataの餌生物を遺伝子解析により種レベルで明らかにした。・この結果を国際学会「10th EASTHAB Symposium」にてポスター発表を行った。タイトル:Development of new primer sets to detect prey DNA from marine dinoflagellate, Dinophysis spp.・この結果を国際学会「THE 18TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON HARMFUL ALGAE」にてポスター発表を行なった。タイトル:An effective method for detecting prey DNA from the genera Dinophysis and Phalacroma by using two specific primer sets・上記で開発したDinophysis用の餌料解析方法を応用することによって、有害プランクトンである夜光虫の餌解析方法を開発することに成功し、この成果を平成31年度日本水産学会春季大会にてポスター発表を行なった。タイトル:海産従属栄養性渦鞭毛藻Noctiluca scintillansの現場海域における餌料解析方法の開発
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書には下記の進行を計画していた。 1) 優占種であるD. acuminataを日本全国から採取して餌料生物を解析し、同一種でも海域や時期の違いによって餌料の種類が異なっているか 2) ディノフィシスの他の有毒種では餌料の種類が異なっているか 3) それらの餌料密度が海中でどう変動し、ディノフィシスの発生量にどう影響を与えているか 4) 最終的には、ディノフィシスの発生時期や規模が事前に予測可能かどうかを検証する 助成期間4年のうち2年が経過し、上記の1)と2)はおおむね達成した。原著論文1報が出版され、学会発表を4件行なっており、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画のうち、まだ達成できていない下記の項目を実施する。 3) それらの餌料密度が海中でどう変動し、ディノフィシスの発生量にどう影響を与えているか 4) 最終的には、ディノフィシスの発生時期や規模が事前に予測可能かどうかを検証する
また、Dinophysis用に開発した餌料解析方法は他の有害有毒プランクトンの餌料解析にも応用可能であるため、他種においても餌料解析方法を開発できればと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として4,160円が繰り越された。この理由は、研究を遂行する上で当該年度に使用する物品は必要十分に購入できたこともあり、余った金額を無理に使用せず、翌年度へ繰り越したためである。
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Research Products
(3 results)