2020 Fiscal Year Research-status Report
Production and uptake of polyamine by microalgae
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17K07892
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
西堀 尚良 四国大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00228206)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリアミン / 微細藻類 / 増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアミンは細胞の増殖に必須の細胞内分子であり、微細藻類の増殖にも重要な役割をはたしている。また、海域には特にプトレッシンとスペルミジンが主要なポリアミンとして分布するが、ブルームの消滅期には多様なポリアミンが検出される。また、河川からの陸水の流入や海域の生物の死滅等によってもポリアミンが供給されえると考えられ、ポリアミンは窒素制限環境下における重要な窒素源の一つであると考えられる。 培養実験の結果、Alexandrium catenella はポリアミン合成阻害剤の存在下で増殖停止するものの、阻害剤とプトレッシンの同時添加により増殖が可能であった。このことから、A. catenellaはプトレッシンをポリアミンとして細胞内に取り込むことが明らかとなり、プトレッシン取り込み機構を有する可能性が示唆された。一方、プトレッシン以外にも、ジアミノプロパン、スペルミジンおよびスペルミンを窒素源として利用し、増殖できることが明らかとなった。そこで、プトレッシン以外のポリアミンの取り込み能を調べる目的で、プトレッシンに加え、ジアミノプロパン、スペルミジンおよびスペルミンをA. catenellaの培養液に1μMになるように加え、これらポリアミンの培地からの減少を検討した。この結果、培養開始後1日でジアミノプロパンの減少がみられ、1週間後には加えたジアミノプロパンの20%程度まで減少した。同時に加えたプトレッシン、スペルミジン、スペルミンの減少はジアミノプロパンに比較して極めてわずかであった。これまでの結果からプトレッシン取り込み機構の存在が推定されるものの、このことは、A. catenellaがプトレッシンよりジアミノプロパンに親和性を有しており、選択的にジアミノプロパンを増殖に利用することを示していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れているものの、研究期間延長により、微細藻類によるポリアミンの排出・生産および取り込み・利用能に関して、当初予定していた研究はこれまでにほぼ実施・完了できている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は取り込み能に関する追加実験を実施し研究を終了する予定である。具体的には、珪藻を用いた取り込み実験を実施し、渦鞭毛藻類との比較検討を行う。また、これまでの結果を順次公表する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度投稿論文が完成できなかったため、論文投稿のための経費として使用する。
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