2017 Fiscal Year Research-status Report
Effects of temperature, irradiance and nutrient on the growth and survival of coralline algae growing in seaweed beds and barren grounds
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17K07908
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 亜記 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (00452962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 一彦 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (30265722)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 無節サンゴモ / 有節サンゴモ / 石灰藻 / 地球温暖化 / 水温上昇 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,日本の温帯域の潮間帯でよく見られる有節サンゴモのピリヒバ(後述)と,無節サンゴモのヒライボについて実験を行った。いずれの種も広島県竹原市沿岸で採集した藻体を用いた。 ヒライボの実験では,発芽体の成長に及ぼす水温,光量,栄養塩の影響を調べた。胞子を単離して約2週間後の発芽体を用い,水温実験は光量100 umol photon/m2/sで,水温を10,15,20,25,30,35℃の6段階,光量実験では,水温20℃で,光量を1,5,10,50,100,200,400 umol photon/m2/sの7段階にそれぞれ設定し,天然海水を用いた。栄養塩実験では,光量100 umol photon/m2/s,水温20℃に設定し,硝酸ナトリウムを除いた1/10PES培地を添加した人工海水(硝酸塩を含まない)に,硝酸ナトリウムを0, 0.1, 0.5, 1, 5, 10, 25uMの7段階で加えた海水を用いた。いずれの実験も明暗周期を12時間とした。実験期間は4週間で,成長率は発芽体の表面積により評価した。水温実験での日間相対成長率は,10℃から20℃にかけて0.06-0.72%に増加し,25, 30℃では,0.30-0.40%,35℃では2週間ですべての個体が枯死した。そのため,本実験でのヒライボの生育適温は20℃であった。光量実験では,日間相対成長率と光量の関係をPlatt et al. (1980)の方程式に基づいて曲線近似したところ,飽和光量は106.8 umol photon/m2/sと見積もられた。この飽和光量以上では,成長率が下がる強光阻害が見られた。栄養塩実験では,日間相対成長率と濃度の関係をMonod growth expressionで曲線近似したところ,飽和には至らず,最も高濃度の25uMで最大の成長率となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピリヒバを用いた予備実験では,成体を用いて栄養塩添加の条件で実験を行うのは困難であることが示唆された。予備実験では,ピリヒバの藻体を,先端から1cmの長さに切断した後,養生のため,10℃,100 umol photon/m2/s,明暗周期12時間の条件で,1週間,滅菌海水中で通気培養した。その後,1Lフラスコ1個に藻体10個体を収容し,10℃と20℃で2週間通気培養を行った。1/10に希釈したPESを添加した滅菌海水を用いたが,20℃では1週間でヒライボ上に他の海藻類が繁茂し,成長量の計測が困難な状態となった。そのため,こうした雑藻を取り除くため,10%高塩分海水や1%次亜塩素酸を添加した海水に,0-5分浸漬したのち,2週間培養を行ったが,雑藻を抑えられる条件ではピリヒバも枯死した。 また,ヒライボの実験では,採集した藻体すべてからは胞子が得られず,発芽率も50-60%程度であったため,発芽体の実験は,多量の藻体を採集可能な種に限られることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の実験で,有節サンゴモの成体については,当初予定していた方法での実験が困難であることがわかったため,平成30年度は有節サンゴモについて,研究科共通機器を利用して,パルス変調クロロフィル蛍光や酸素発生量をもとに温度と光量の影響について実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
1℃間隔で6段階の水温による培養実験が可能な水槽装置を設置した際,装置の製作や電気工事を大学の技術職員に実費で行っていただくことができたため,予定より安価にできた。残額を旅費や水温冷却装置の購入に充てる予定である。
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